吉村知事が緊急事態宣言下で推し進める〝大阪都構想〟 2月に条例案提出へ

12日、記者団の囲み取材に答える吉村知事

政府は13日にも大阪府を含む7府県に緊急事態宣言を再発令する。これを前に大阪府は12日、新型コロナウイルス対策本部会議を開催した。7府県への緊急事態宣言を巡っては、腰の重い政府に対し批判の声が上がっていたが、吉村洋文知事は「緊急事態宣言を出すのは判断としても難しい。感染を抑えるためには出すべきだが、大きな副作用も伴う。そうした状況の中でスピード感をもってご判断いただいたと思う」と評価した。

“スピード感”という言葉を使うことが少なくない吉村氏。そのスピード感は、大阪都構想の住民投票否決を受けて打ち出した、大阪府・市の広域行政を一元化する条例案にも発揮されている。

緊急事態宣言で住民の意識がコロナに移る中、この条例案を2月議会に提案する予定に変わりないか聞かれると「考え方に変わりはない。議会は緊急事態宣言下でも開く。これは仕事ですから。それぞれが府民の代表として、議場に上がって必要なことはやっていく。府民の皆さんが住民投票するわけではない。府民の代表である知事、議会で議論すべきこと。大阪市議会もそうだと思います」と述べた。

一方で、都構想で敗れながら「二重行政を解消すべきという意見は多い」として、着々と推し進める吉村氏や維新の会には「横暴だ」「あの選挙は何だったのか」などと反発の声も強い。

2019年の大阪府知事・市長のダブル選挙で、吉村氏と知事の座を争った元副知事の小西禎一氏は「大阪市を残すというのが住民投票で示された民意。今はコロナ対策に全力投球すべき時で、制度維持に力を費やすのは間違っている」と指摘。吉本興業の美容番長ことタレントのシルクも、自身のブログで真っ向から対立している。

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