新上五島の林業振興 研修充実で担い手確保へ 協議会設立4年 出荷量倍増目指す

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島の森再生協議会の事業で五島森林組合にリースされた重機「ハーベスタ」。ヒノキを次々と伐倒して枝を取り除き、裁断していった=新上五島町岩瀬浦郷

 長崎県の新上五島町で林業の振興を図ろうと、町や県、森林組合、建設業者など21団体で「島の森再生協議会」を設立してから4年が経過した。作業用重機の利用促進によって木材の出荷量は増加傾向にあるが、現場作業に携わる担い手不足が大きな課題として横たわる。研修の充実などで新規就業者を増やしていけるか注目される。
 町農林課などによると、町面積の8割以上に当たる約1万7千ヘクタールが森林。戦後、国策として植えられたヒノキとスギの人工林が伐採期を迎えていることから、町は森林資源の有効利用に本腰を入れ始めた。
 再生協議会は2016年12月に設立。町が16、17年度に約6800万円かけて購入した作業用重機4台の無償貸与を受け、林業関係者にリースする事業の実施主体となっている。
 重機は▽立ち木を伐倒して作業道をつくる「フェラーバンチャ」1台▽伐倒や枝払いなどを行う「ハーベスタ」1台▽切り分けた丸太を荷台に積んで運ぶ「フォワーダ」2台。
 これらの重機を利用している五島森林組合上五島支所の増山亮支所長は「民間事業者に比べてリース料が安く、経費の大幅削減につながっている」と説明。重機の積極利用により作業効率が上がり、木材の年間出荷量は16年度の約1499立方メートルから、17年度には約2604立方メートルと1.7倍に増加。その後も2千立方メートル前後を出荷し、20年度も約1996立方メートルを見込んでいる。
 町は25年度までに4千立方メートルの出荷を目標を掲げているが、その達成に不可欠なのが担い手の確保。現在、町内で林業に携わっているのは同支所の16人で、25年度までに約1.5倍の25人に増やしたい考えだ。
 町は林業に関する研修費用の一部を補助しているほか、本年度は初めて林業部門の地域おこし協力隊員を採用し、器具の使い方や安全管理の研修に取り組んでいる。再生協議会も、本土から講師を招いての講習会を開催している。
 増山支所長は「現場での危険を察知したり、木を切るタイミングは1本1本違ったりと経験も大切。若い人を少しずつ入れてつないでいきたい」。同支所の職員で、運送業から転職して5年目の神園洋一さん(43)は「機械化が進んでいるおかげで長い経験がなくても入りやすい」と話す。
 町農林課は「人口減が進む島で、雇用創出がその対策となる。町外も含め広く参入を呼び掛けていきたい」とした。

出荷するスギ材の直径を測る五島森林組合の職員=新上五島町岩瀬浦郷