長崎県内企業『感染対策再強化』 テレワーク推進、県外出張禁止 緊急事態対象地域拡大受け 

在宅率を高め、空席が目立つ職場=長崎市出島町、チューリッヒ保険長崎オフィス(同社提供)

 新型コロナウイルス流行に伴い緊急事態宣言の対象地域が福岡県まで拡大し、長崎県でも特別警戒警報が発令されている中、県内企業は再びテレワークを推進したり、出張を制限したりと警戒と対策を強めている。
 メットライフ生命長崎本社(長崎市)は8日、4段階の社内アラートレベルを2番目に厳しい「イエロー」に引き上げた。「社員が安心し、安全に仕事できる体制を整えることがサービス提供の維持につながる」と隔週出勤に切り替え、70%程度の出社率を50%まで下げた。時差出勤も推奨している。チューリッヒ保険の長崎オフィス(同市)は感染状況に応じて在宅勤務の割合を柔軟に変更。昨年末は20%程度だったのを、30~35%に高めた。
 九州電力(福岡市)は事務職に限り、出社率7割削減を目指す。十八親和銀行の親会社ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)は14日、福岡、長崎間の出張を原則禁止とした。三菱重工業は今後、長崎造船所が同宣言対象地域に入れば、出社抑制の目標を現行の5割以下から3割以下に厳格化する。
 不動技研工業(長崎市)は年末から県外出張を原則禁止に。在宅勤務も導入に向け準備を始めた。九州教具(大村市)は福岡県内の拠点勤務の9人全員を在宅とし、長崎県外への移動は私用も含め事前申請制にしている。ナビック旅行センター(同市)は当面、毎週土曜を休業にした。
 長崎市内のIT系企業は昨年春に社員の約8割を在宅にしたが、今は解除。出張と会食は秋から自粛を続けているが、担当者は「県内一斉に『出歩くのを控えて』と言われれば協力するが、自社だけ在宅を徹底しても感染抑止に効果があるのか」と戸惑う。
 協和機電工業(長崎市)は9日から、県境をまたぐ移動や外部セミナー参加を禁じた。コロナ接触確認アプリの活用を義務付け、私的な会食や映画館利用も自粛を呼び掛けた。担当者は「どこで感染するか分からず、ピリピリしている。事業を止めないようにするのはもちろん、一人一人が気を付ければ県全体の感染者を減らせる」と話した。

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