新潟県妙高市の(有)かんずりが恒例の雪さらし

雪さらしの様子

新潟県妙高市(旧新井市)に古くから伝わる調味料、かんずりの製造工程の一つである雪さらしが大寒にあたる20日、製造元である有限会社かんずり本社から徒歩5分のところにある田んぼで行われた。
かんずりは、唐辛子を雪にさらした後、糀・柚子・塩を混ぜて3年間熟成発酵させた添加物・保存料不使用の自然発酵食品。まろやかな辛味と糀の旨み、柚子の香りが特徴で、四季を通じて料理の味を引き立てる。
まず自社や契約農家で栽培した妙高市産の「かんずり用唐辛子」を収穫・選別し、8月から天然海水塩で塩漬けにする。その後、大寒の日から3~4日ほど雪さらしをし、糀、柚子、食塩を加えて、3年間ほどかけて熟成・醗酵させていく。
かんずりの東條昭人社長によると、塩漬けにした唐辛子を雪にさらすと、アクが抜けて味がまろやかになるといい、雪さらしの作業は東條社長の祖父が発案した。以来、50数年間ほぼ毎年行っているという。

この日は、女性社員4人が合計600キログラの唐辛子を手分けして雪上にまいていった。1本20センチメートルほどある大きな唐辛子の赤と、雪の白が綺麗なコントラストになり、駆け付けたアマチュアカメラマンもシャッターチャンスを狙っていた。

雪さらしの作業は2月いっぱいまで10回ほど行われ、合計で3トンの唐辛子が雪上にまかれる。例年は15トンほど雪にさらすが、今年から3年間ほど生産調整に入るため、今年は少ない量となった。

東條社長は、「今年の唐辛子は昨年の長雨で心配だったが、いい出来具合になった。今年雪さらしをした唐辛子が家庭の食卓に並ぶのは3年後になる。その頃には新型コロナウイルスが収束し、平穏な日常が戻ることを願いながら執り行った」と話していた。

遠くには妙高山、火打山が見える

1日に600㎏をまいた

大ぶりの唐辛子

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