「長崎訪問」「核禁条約に参加を」 長崎の被爆者ら バイデン氏就任に期待

 バイデン米大統領の就任を受け、長崎の被爆者らからは21日、「被爆地長崎の訪問を」「(22日発効の)核兵器禁止条約に参加し、大国のリーダーシップを」などと期待や注文が聞かれた。
 オバマ政権時の「核なき世界」の理念を継承するバイデン氏の就任に、長崎原爆遺族会の本田魂会長(77)は「被爆者の高齢化が進んでいる。できるだけ早く長崎に来てもらい、原爆の恐ろしさを知ってほしい。日本政府が働き掛けないと始まらない」と強調した。核兵器禁止条約について、県被爆者手帳友愛会の永田直人会長(88)は「米国には(同盟国の)日本も道連れに条約に参加してもらい、大国のリーダーシップを取ってほしい」と注文した。
 県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(77)は「まずはコロナ対策などに忙殺されるのだろうが、今後の核政策に期待したい。オバマ政権時に実現できなかった核兵器の先制不使用を宣言できるかどうか、最も期待している」と述べた。
 長崎市の田上富久市長は「世界の核軍縮の進展に向け主導的役割を果たすことを期待している」とのコメントを発表。松井一実広島市長と連名で、新戦略兵器削減条約(新START)の延長に向けたロシアとの交渉などを求める書簡を在日米国大使館へ送付した。
 中村法道知事は「被爆地長崎を訪問され、被爆者の声に耳を傾け、核兵器のない世界の実現にご尽力いただくことを願っている」とコメントした。

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