【解説/核禁条約】非人道的兵器として全面的に違法 苦難、努力に言及

核兵器禁止条約(外務省の暫定的な仮訳から抜粋)

 核兵器禁止条約は前文と全20条で構成される。核兵器を非人道的兵器として全面的に違法とした初の条約だ。
 条約の理念を表す前文には「被爆者が受けた容認しがたい苦しみに留意し」などと、長崎や広島の被爆者、世界の核実験被害者らの苦難に言及。核廃絶に向けた被爆者らの努力にも触れている。
 第1条では、核兵器の使用や保有に限らず、核兵器を使うと脅したり、他国へ配備したりすることも禁止している。第4条には、核保有国や「核の傘」の国が条約に参加する手段については2通り明記。核保有国については、核兵器を全て廃棄して条約に参加するか、参加後に期限を決めて廃棄するとしている。
 第6条では、核兵器の使用・実験で被害を受けた人々に、医療などの援助をする義務、汚染された環境を回復させる義務を課し、核兵器を使用、実験した国の援助責任を明確化した。
 締約国は条約発効後1年以内に「締約国会議」を開催し、条約の具体的な内容を検討。その後は2年おきに開催し、6年おきに検討会議も開く。締約国会議には、非締約国や国際機関だけでなく、非政府組織(NGO)も招待される。

© 株式会社長崎新聞社