巨人・桑田チーフコーチ補佐に〝重大任務〟 投手担当だけど…打撃指導もお願い!

打撃も一流だった現役時代の巨人・桑田投手チーフコーチ補佐(2002年)

巨人・桑田真澄投手チーフコーチ補佐(52)に〝裏ミッション〟だ。巨人が躍起になっているセ・リーグのDH制は今季の導入が見送られた。引き続き投手は打席に立つが、ここ数年、若手G投の打撃意識は希薄化が進行。そんな中でチーム内から現役時代に強打を誇った新任コーチに「投手に打撃を教えてほしい」と熱望する声が上がっている。

桑田コーチは巨人の背番号18を背負って173勝を挙げたレジェンド右腕。リーグ3連覇、日本一奪回に向けて投手陣の底上げは不可欠で、同コーチの手腕にかかる期待は大きい。一方で、チーム内からは「あれだけの打撃成績を残した桑田コーチには、投手の打撃指導もお願いしたい」との声が湧き起こっている。

PL学園で1年生エースとなった桑田コーチは清原和博氏との「KKコンビ」で甲子園に春夏5度出場。打順は主に5番を任され、甲子園通算本塁打数では清原氏の13本に次ぐ歴代2位の6本塁打をマークした。ちなみに同じ6本塁打には巨人・元木ヘッドコーチ(上宮)がおり、松井秀喜氏の4本塁打をも上回っている。

プロでもバットで魅せた。「打者・桑田」の通算成績は打率2割1分6厘、7本塁打、79打点。特に打率は1951年以降のプロ入りで通算500打数以上の投手の中では歴代1位だ。中でも極めつけは2002年6月18日の横浜(現DeNA)戦だろう。延長11回無死一塁で原監督から野手を差し置いて代打に起用され、見事にバスターを決めて好機を演出。チームを勝利に導いた。

原監督も「こんなに大きく見えるピッチャーはいませんでした。バッティングにおいてもそういうことが言えたんですけど、非常に体を大きく見せる野球人」と同コーチの非凡な打撃には敬意を表している。

現在のG投は昨季3二塁打を含む4安打3打点だった菅野を除き、打撃面に課題がある。特に昨季9勝の3年目右腕・戸郷は過去2年で40打席連続無安打。昨年8月には球団ワーストの11打席連続三振を喫し、自ら「打撃センスがない」と認めている。投手に求められる犠打でも成功3、失敗2と改善の余地は多い。

もちろん投手の本業はピッチングであり、打撃練習に多くの時間は割けない。ただ、昨年1月にNHK・BS1で放送された「球辞苑」の「九番打者」の回で、桑田コーチは「打撃練習はキャッチボールをするだけでいい。グラブの芯でボールを捕るつもりで、バットの芯で〝捕りに〟行けばいい」と独自の理論を披露していた。

投手の打撃が向上し、しっかりと犠打も決められるようになれば21年度版G打線にいよいよ穴はなくなる。桑田コーチの手腕でチームの得点力がアップするか見ものだ。

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