アーロンの偉大さを示す13のスタッツ MLB公式サイトが特集

ハンク・アーロンは「2つの数字」とともに永遠に語り継がれることになるだろう。1つは「715」。1974年にベーブ・ルースのメジャー記録を更新する通算715号アーチを放ったシーンは、スポーツの歴史上、最も象徴的な瞬間の1つとされている。もう1つは「755」。アーロンの通算755本塁打は、バリー・ボンズに抜かれるまで31年間にわたってメジャー記録として残った。しかし、この「2つの数字」は、アーロンの偉大なキャリアのほんの一部に過ぎない。

メジャーリーグ公式サイトのアンドリュー・サイモンは、アーロンの偉大さを示すスタッツとして以下の13項目を紹介している。

【1】アーロンはシーズン47本塁打が最多だったが、史上5人しかいない8度のシーズン40本塁打、史上2人しかいない15度のシーズン30本塁打(もう1人はアレックス・ロドリゲス)、そして史上唯一となる20度のシーズン20本塁打を達成するなどコンスタントに数字を積み重ね、歴代2位の755本塁打を放った。20本塁打をクリアできなかったのはメジャー1年目と現役最後の2年間だけだった。

【2】通算755本塁打はコンスタントに試合に出場し続けた頑丈さの賜物である。通算3298試合出場は歴代3位。通算13941打席も歴代3位にランクインしている。14度の150試合出場は史上6人だけ、21度の120試合出場は史上2人だけの大記録だ(もう1人はピート・ローズ)。

【3】アーロンは20歳から40歳まで「生産的な選手」であり続けた。21歳以下でWAR6.0以上のシーズンを記録した野手は史上24人しかおらず、25歳までのWAR38.8は歴代10位。一方、35歳以上でのWAR31.4も歴代7位にランクインしている。37歳で自己最高のOPS1.079、39歳で自己2位のOPS1.045を記録。1969~73年の5年間は、35~39歳だったにもかかわらず、メジャー1位の長打率.601とOPS.997をマークした。

【4】これまでに言及した本塁打、出場試合数、打席数だけでなく、多くの部門で通算成績ランキングの上位にランクインしている。6856塁打、1477長打、2297打点はいずれも1位、3771安打は3位、2174得点と293敬遠は4位、WAR143.1は野手5位。史上6人しかいない3000安打&500本塁打の達成者の1人でもある。

【5】755本塁打という数字ばかりが注目されるアーロンだが、通算安打から755本塁打を差し引いても3000本以上の安打を放っているという事実は特筆に値する。本塁打を除く3016安打は歴代29位に相当し、殿堂入りの安打製造機ウェイド・ボッグスの通算3010安打を上回っている。

【6】通算6856塁打は2位のスタン・ミュージアルに722もの大差をつけるダントツの数字である。2019年の最多塁打はラファエル・デバース(レッドソックス)の359だったが、実にこれの2倍以上。ベース・ルースが持つシーズン塁打記録(457)を15年続けたとしても、アーロンの通算記録にはわずかに届かない。

【7】アーロンは歴代3位の打席数を記録する一方で、三振は1383個だけ。これは歴代112位に過ぎず、通算四球(1402)を下回っている。すでにジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)やジャスティン・アップトン(エンゼルス)がアーロンより多くの三振を喫している。現代より三振が少ない時代にプレーしていたのは事実だが、レジー・ジャクソン(2597三振=歴代1位)、ウィリー・スタージェル(1936三振)、ミッキー・マントル(1710三振)らと比較しても圧倒的に少ない。

【8】アーロンとの対戦回数は、殿堂入り右腕のドン・ドライスデールが249回でダントツ。通算被OPS.645のドライスデールからアーロンは17本塁打を放ち、キャリア通算のOPS.928に匹敵するOPS.925をマークした。また、サンディ・コーファックスに対して130打席でOPS1.077、スティーブ・カールトンに対して81打席でOPS1.025など、殿堂入りの名投手を相手に好成績を残した。

【9】アーロンはオールスター・ゲームに25度選出されているが、これは歴代1位。1959年からの4年間はオールスター・ゲームが2試合開催されていたため、厳密にはオールスター・ゲーム選出は21度だが、これも歴代1位。オールスター・ゲーム先発出場17度はウィリー・メイズ(18度)に次ぐ歴代2位である。

【10】アーロンは知名度だけでオールスター・ゲームに選出されていたわけではなく、メジャー2年目の1955年から1969年まで15年連続でWAR6.0以上を記録していた。2019年にWAR6.0以上を記録した野手は13人だけ。アーロンは超一流のパフォーマンスを15年間続けたというわけだ。15年連続はメジャー記録。WAR6.0以上を通算16度マークしたのはバリー・ボンズと並んで野手歴代1位タイである。

【11】ポストシーズンでプレーする機会はそれほど多くなかったアーロンだが、通算17試合で打率.362、6本塁打、16打点、OPS1.116という素晴らしい成績を残している。1957年のワールドシリーズと1969年のリーグ優勝決定シリーズでそれぞれ3本塁打を記録。ポストシーズン通算70打席以上の打者のうち、打率は6位、OPSは5位にランクインしている。

【12】上記のような素晴らしい活躍を続けていたにもかかわらず、アーロンはMVPを1度(1957年)しか受賞できなかった。MVP投票2位のシーズンは1度もなし。しかし、3位に6度もランクインし、1955年から1973年まで19年連続でMVP投票で得票するなど、常にMVP候補に挙がる選手だった。

【13】メジャーではウェイナー兄弟から始まり、ディマジオ、アルー、アロマー、アップトン、シーガーなど多くの有名な兄弟がプレーしてきたが、兄弟による通算最多本塁打記録を保持しているのはアーロン兄弟である。5歳下の弟・トミーは1962年から1971年にかけてメジャーで7年間プレーし、通算13本塁打を記録。兄弟合計768本塁打のうち、実に98.3%を兄・ハンクが打ったことになる。

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