「2040年までに核廃絶を」 秋葉前広島市長訴え 原水禁国際シンポジウム

2040年までの核廃絶実現のため「北東アジア」の非核化を訴える秋葉氏

 核兵器禁止条約の発効を受け、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は23日、日米韓の3人をパネリストに、同条約の課題や展望を考える国際シンポジウムをオンラインで開いた。パネリストの一人、秋葉忠利前広島市長は2040年までに核廃絶を達成する構想を提案。実現に向け、日本や韓国、北朝鮮と米露中の6カ国が参加する「北東アジア非核兵器地帯」条約の必要性を訴えた。
 非核兵器地帯に関する条約は、これまでに中南米や東南アジアなど世界5地域で発効している。秋葉氏は被爆地も提唱している北東アジア非核兵器地帯構想を実現するための条約の必要性を強調。日本が他の5カ国の仲介国となり「米国に忖度(そんたく)せず、積極的に働き掛けるべきだ」と訴えた。
 韓国の市民団体「参与連帯」のイ・ヨンア氏は、北東アジアの非核化は核廃絶の「飛び石になる」と期待。米韓合同軍事演習を中止し「北朝鮮との信頼構築を促進すべきだ」と指摘した。
 米国の平和団体「ピースアクション」のケビン・マーティン氏は、バイデン新政権がロシアとの「新戦略兵器削減条約(新START)」を5年延長する方針を示したことに言及。「米国は核軍縮に前向きになった」と評価した上で、イラン核合意の早期復帰を求めた。
 冒頭であいさつした川野浩一議長(81)は、日本政府がすぐに核兵器禁止条約に賛同できなくても、「1年以内に開かれる締約国会議に参加して、議論をけん引すべきだ」と訴えた。

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