パ投手の方が球速いはウソ? 守備力はセが惨敗…データでみる両リーグの違い

ソフトバンク・千賀滉大(左)と西武・平良海馬【写真:荒川祐史】

直球の平均球速はパが144.4キロに対し、セは145.4キロ

春季キャンプまで1週間余りとなり、いよいよ2021年シーズンが本格的にスタートする。ソフトバンクに4年連続日本一を許したセ・リーグにとっては一矢報いたいところ。昨季はコロナ禍で交流戦は行われなかったが、2019年まで10年連続でパ・リーグに勝ち越しを許している。「パ高セ低」の声もある中、データ上で両リーグの違いを見ていきたい。

セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを用いて、攻守の各指標を比較。項目によっては、一般的に抱かれることが多いイメージとは違う数値も出てきた。

直球の平均球速はパが144.4キロに対し、セは145.4キロとちょうど1キロ上回る結果に。パでは西武の160キロ右腕・平良海馬やソフトバンクの千賀滉大、オリックスの山本由伸ら速球派が揃う印象もあるが、リーグ全体でみるとセ投手の方がわずかに速かった。

この“真っ直ぐ”をめぐって大きな差が出たのが、ストレートに対する打者の得点貢献を示す「wFA(Fastball runs above average)」。セが「63.6」なのに対し、パは倍以上の「135.7」。いかにパの打者たちがストレートを打っているかが顕著に表れている。

スライダーに対する打者の得点貢献はパ「-25.4」、セ「11.3」

一方で変化球を見ると、スライダーに対する得点増減の合計を示す「wSL(Slider runs above average)」でパはマイナス指標の「-25.4」となったが、セは「11.3」。セ投手のスライダー割合もパより4%ほど多く、より変化球で勝負を決している状況がにじむ。

守備では、総合的な貢献度を表す「UZR(ultimate zone rating)」で比較。同じ守備位置の平均と比較して得点化した相対的な指標のため、リーグ間の比較では対照的な数値となる。差が出にくい捕手では、パが「0.1」、セが「-0.1」という結果になる。

9つのポジションのうち、左翼以外の8ポジションでパがプラス指標に。最も数値が離れていたのは遊撃で、パが「21.1」、セが「-21.1」となった。セでは中日・京田陽太や巨人・坂本勇人が健闘したものの、パは3年連続ゴールデングラブ賞の西武・源田壮亮をはじめ、ソフトバンク・川瀬晃、日本ハム・中島卓也らが高い数値を叩き出した。

単に直接対決の勝敗だけでは見えてこない両リーグの差異。交流戦が復活する今季、両者はどんな戦いを見せるのか注目だ。(Full-Count編集部)

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