東京五輪は「観客50歳以下限定」 医療関係者が仰天プラン

バッハ会長(ロイター)

新型コロナウイルスの影響で東京五輪開催の可否や開催方式が見えてこない中、医療関係者から仰天プランが飛び出した。感染症に詳しいナビタスクリニックの久住英二理事長は「無観客開催が理想」とした上で、観客の入場年齢を「50歳以下」に限定することを推奨。一歩間違えれば差別問題に発展しかねないが、医療崩壊を食い止めない限り、安全な開催は保証できないという。

久住理事長はまず、新型コロナウイルスに感染した患者のリスクについて、こう説明した。

「英国での医療記録をもとに約1700万人を対象に調査をした結果、圧倒的に年齢がリスクだということが分かっている。糖尿病や高血圧なんてどうでもいい。合併症のある50歳より、合併症のない60歳の方がはるかに重症化しやすい。年齢が圧倒的に重症化や死亡リスクに関係している」

実際に厚生労働省のデータ(昨年11月時点)でも、50歳以下の重症化率は0・3%だが、60歳以上になると8・5%に上昇。死亡率も50歳以下は0・06%と低いものの、60歳以上は5・7%にまで膨れ上がっている。

そんな状況を踏まえて「どうしても観客を入れるのであれば、年齢制限をしたらどうか。ぶっちゃけ、重症化しても病院に入れてもらえない状況がある中で、入院するような状態になる人が増えなければいい。入院が必要なくて、医療現場に負荷がかからないような人たちに限定して観客を入れたらいいと思う」と提案した。

苦肉の策とはいえ、年齢制限を実施した場合、高齢者から批判の声が噴出するのは確実。差別問題にまで発展しかねない。それでも「ウイルスは明らかに高齢者の人たちをたくさん殺しにいっている。それを『みんな権利は同等だから』って言って、年齢で分けたりせずに、同等に扱ったりするのはちょっとどうかなと思う」と主張するのも、あくまで医療崩壊を危惧してのことだ。

その上で「お年寄りが亡くなる病気なのにお年寄りが出歩いていたら、病院がいくらあっても足らない。前回の東京五輪(1964年)を見て、もう1回、五輪を見られると思ってチケットを購入した高齢者は、若い方にチケットを譲ったらどうか。高齢者への差別でもなく(新型コロナウイルスに)かかったときに入院できる病院がなくなるので」と理解を求めた。

ただ理想とするのは無観客。「若い人たちの間でも感染が広がれば、やがて50歳以上の人たちのところにも新型コロナウイルスが届くので(年齢制限も)あまり望ましくはない」とくぎを刺すのも忘れなかった。最近は新型コロナウイルスに感染しても入院先が見つからず、自宅療養中に亡くなる高齢者が相次ぐなど医療崩壊の危機が迫っており、IOCや組織委も何らかの決断を迫られそうだ。

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