アレナード自身はトレード受諾 MLB機構と選手会の承認待ちに

カージナルスの地元紙「セントルイス・ポスト・ディスパッチ」のデリック・グールド記者は、2つの情報源から聞いた話として、ノーラン・アレナード(ロッキーズ)がトレード拒否権を破棄してカージナルス移籍を受け入れたことを伝えている。今回のトレードには多額の金銭とアレナードの既存の契約の再構築が含まれているため、メジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会からの承認待ちという状況になっているようだ。

日本時間1月30日、「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者によってカージナルスとロッキーズのあいだでアレナードのトレードが合意に達したことが報じられた。トレードが完了するまでにクリアしなければならないハードルが非常に多く、まだ成立には至っていないものの、アレナードが今季からカージナルスの赤いユニフォームを着てプレーすることがほぼ確実となっている。

現地メディアが報じている情報を整理すると、まずアレナードはロッキーズと6年1億9900万ドル分(2021~2026年)の契約を残しており、その契約には全球団に対するトレード拒否権と2021年シーズン終了後のオプトアウト権が含まれている。アレナードはトレードの際にこのトレード拒否権を破棄することになるが、カージナルス移籍後に再取得するようだ。また、トレード拒否権を破棄することに対するボーナスのような形で、2022年シーズン終了後のオプトアウト権が追加され、さらに2027年に1年1500万ドルの契約が追加される見込みとなっている。

これに加え、ロッキーズはアレナードの残り契約の一部として5000万ドルを負担し、カージナルスがアレナードに支払う年俸の一部は後払いになる予定だという。多額の金銭と契約の見直しが含まれるトレードのため、メジャーリーグ機構と選手会からの承認が必要となっている。2017年12月にヤンキースがマーリンズからジャンカルロ・スタントンを獲得した際、「スタントンが2020年シーズン終了後にオプトアウト権を行使しなければマーリンズが3000万ドルを支払う」という条項が盛り込まれていたが、今回もアレナードのオプトアウト権行使の有無によって金額が変動するような形になるかもしれない。

なお、2003年オフにはレッドソックスとレンジャーズのあいだでマニー・ラミレスとアレックス・ロドリゲスを含む超大型トレードが成立寸前までいったことがある。このときはレンジャーズがレッドソックスにラミレスの年俸の一部を負担することを求め、ロドリゲスはレッドソックスがその資金を捻出できるようにサラリーの減額に同意していたと言われている。しかし、既存の契約の価値を下げることになってしまうため、選手会が承認せず、トレードは成立しなかった。

今回はアレナードが損をするような内容になっていないため、選手会が却下することはないとみられるが、メジャーリーグ機構と選手会がトレードの内容を精査し、承認するまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

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