中田翔が証明? 阪神ドラ1・佐藤輝の「下半身」生かす外野コンバート

ロングティー打撃を行った阪神・佐藤輝(顔写真は日本ハム・中田)

天性のアーチストだからこそ「外野」で下積みも悪くない。阪神・宜野座キャンプではドラフト1位新人・佐藤輝明外野手(21=近大)が、さっそくその片りんを披露した。「まだ完璧じゃないですけど…」とフリー打撃では89スイングで柵越え9本。スコアボード直撃の推定飛距離135メートル特大弾も放ち、矢野燿大監督(52)も「あれだけの高さのある打球を打てる打者は、プロでもそんなにいない」と絶賛した。

今後はどこの「守備位置」を主戦場にするかも注目だ。シートノックでは三塁と左翼につき、グラブは内野、外野、一塁と3種類を持参。「必要とされるとこでしっかりと準備したい」と本人はどこでもOKの姿勢だ。その中でも、持ち味の打棒を最も生かせる持ち場はどこなのか。

今後、佐藤輝を研究する立場にある他球団のスコアラーは、侍ジャパンで4番を務めた経験もある和製大砲の成功モデルを例に、その成長曲線を予想する。

「若いうちは試合に出ることと並行して振る体力をつけることも大事で、両方を養えるのは内野よりも、むしろ外野。攻守交替でベンチから走る距離が内野と外野では違い、1試合でも9回分、年間にする何十キロも走る距離が変わる。日本ハムの中田翔も入団後の何年かは三塁だったけど、打撃が安定してきたのは左翼をやってから。佐藤輝もだけど、やっぱり遠くへ飛ばす能力を持つ選手は不調になると背筋が強いゆえに、上半身に頼った打ち方をしがち。そこをしっかりと下半身主導で振るためには、やはり体のキレは欠かせない要素になると思うよ」

プロでは一般的に「内野→外野」のコンバートは可能でも、その逆は難しいとされる。そのため大学まで三塁が本職の佐藤輝には「レギュラーの大山がいても、まずは競わせて…」の声もあった。だが、打撃にもつながる守備の〝調教効果〟があるのであれば、むしろ自軍ベンチから最も遠い外野のポジションが、自らの長所を最も磨ける場所になるのかもしれない。

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