本校では、4年前から総合的な学習(探究)の時間に全校で探究活動を行い、卒業論文を作成するプログラム「きみろん」(きみにしか書けない論文コンテスト)に取り組んでいる。
まず、論文作成の入門プログラムとして、15年後の自分の家庭や職業の視点から、現在のさまざまな新聞記事を論評し、新たなアイデアの創出に挑戦する。論文作成で基本となる批判的思考力を育てるとともに、チームの意見を聞きながら協働的思考力を培い、さらにもう一歩先に進むための創造的思考力の育成を目指している。自分自身を客観的に俯瞰(ふかん)するメタ認知能力を鍛えることにもなり、研究論文を書くための重要な最初の一歩となっている。
次に、実際に自分の研究テーマを見つけ、リサーチクエスチョンを発見する。それを解決する仮説を立て、検証するための調査・実験やデータ処理等を行い、考察して研究論文を書き上げていく。
一番の苦労は、日常生活や授業から問いを立てるテーマ決めである。「何も浮かばない」から始まるが、論文が仕上がると「自分の疑問を掘り下げて研究できて良かった」と多くの生徒が感想を述べている。
最終的には、表現発信力を身につけるためにポスターを作成し、論文の英語要約とポスターセッションを行う。論文作成を通じて身につけた力が、持続可能な社会を作る原動力になると、生徒と教職員が共通理解を持って取り組んでいる。(教諭・山田真太郎)=日曜日掲載=