被爆樹木7本 「被爆建造物等」とするかを審議 

新たに報告された被爆樹木に対し、保存の必要性を訴える為永氏(右)=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 被爆者や樹木医などの専門家でつくる「長崎市原子爆弾被災資料審議会」(岸川正大会長)の本年度第1回会合が5日、同市内であり、市が新たに報告した7本の被爆樹木について、保存方法などを定める「被爆建造物等」とするかを審議した。新たに見つかった被爆樹木が本年中に「被爆建造物等」になれば、2003年以来18年ぶり。
 市は被爆の実相を後世に伝えようと、被爆した建築物や工作物、樹木などを被爆建造物等として保存・活用している。原爆被爆との明確な関連が必要だが、新たに報告された全ての樹木に熱線で焼け焦げた跡など目立った被爆の痕跡はなく、これらを「被爆建造物等」にするかが焦点。
 報告したのは、19年3月下旬から市に情報提供があった爆心地から2キロ以内に位置する5本と、約4キロ以内の2本で、柿の木やシイノキなど。3月中に委員らが現地調査し、6月ごろに開かれる次回の会合で再度審議する。
 委員の為永一夫県樹木医会会長(71)は「当時そこにあったという証言が重要。被爆樹木の生命力を子どもたちに伝えていくべきだ」と保存の必要性を訴えた。市が保存対象としている「被爆建造物等」に含まれる被爆樹木は、2月5日時点で計30本ある。

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