【東京新聞杯】カラテがGI戦線へ道場破り 菅原明は涙の重賞初制覇

馬群を割ったカラテ(右)は外のカテドラルを封じて見事に“一本勝ち”を決めた

春のマイルGⅠにつながるGⅢ東京新聞杯(東京芝1600メートル)は、デビュー3年目の若武者・菅原明良(19)が騎乗したカラテ(牡5・高橋祥)が勝利。人馬ともにうれしい重賞初制覇を飾った。昨年12月の2勝クラスVから一気に3連勝。この勢いはどこまで続くのだろうか。

「前走(若潮S)の勝ちっぷりは強烈でしたから。馬は確実に変わってきていましたね」とレース後、同馬の軌跡を振り返った高橋祥調教師。これまでは道悪巧者というのが陣営の見立てだったが、それを払拭する中山マイル=1分32秒9の好時計V。春のタケノコのようにサラブレッドが瞬く間に成長するケースは決して珍しくないが、年をまたいでのカラテの成長はとてつもないもの。2年前のGⅡスプリングS(16着)以来の重賞チャレンジだった今回、またもや「強烈でした」と指揮官も舌を巻く結果になった。

スタートを無難に切ったカラテは絶好位の5番手をキープ。終始、うなるくらいの行きっぷりで直線へ。ところが、なかなか進路が開かない。いったんは内に行きかけたが、再び外へ切り返して1頭分のスペースを確保すると、鞍上は渾身の右ムチで即座にギアチェンジ。外から勢いよく伸びてきたカテドラルをわずかに退けて栄光に続くゴールへ飛び込んだ。

「前めにつけたかったし、自分のやりたい競馬はできました。直線では前が壁になって追い出しが遅れましたが、馬の反応がすごく良くて…。前の馬をかわしてくれと必死に追いました」と涙を拭いながら喜びを爆発させた菅原明。今年はこれで早くも8勝目。若手の台頭が久しくなかった関東だが、いまや横山武と並んでトップを狙えるポジションまで浮上した。

「僕も馬のレベルアップに負けないよう、もっといい騎乗ができるように頑張っていきたい」と、さらなる高みを目指して決意表明を行った。

春の最大目標は今回と同じ舞台、GⅠ安田記念(6月6日=東京芝1600メートル)。3連勝で陣営には少なからずの自信が芽生え始めている。前走で時計の壁を乗り越え、今回で東京も“完全攻略”したのだから。その春の頂上決戦後、69歳のベテラン調教師の口から再び、いや3度目の「強烈でした」を聞いてみたいものである。

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