脳科学者・中野信子さん 記憶の不確実性、正義感、サイコパスについて語る 「私は確信する」特別映像

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”ヒッチコック狂による犯罪”として世間を騒がせた、フランスで実際に起こった“ヴィギエ事件”を映画化した「私は確信する」の公開を前に、「サイコパス」「人は、なぜ他人を許せないのか?」などの著書があり、テレビのコメンテーターでも活躍している脳科学者・中野信子さんによる、脳科学的に映画を読み解く特別映像が公開された。

公開された動画は二部構成となっており、パート1では、陪審員制度の疑似体験や「誰かの運命」を握る緊張感など、裁判サスペンスならではの面白さについて語っている。「陪審員制度を体感できる作りによって、自分の意見が誰かの運命を決める重さや心理的な負荷が画面から伝わる」「誰かの運命が、もしかしたら自分の振る舞いによって決まってしまうかもしれない。そのテンションのかかり方に、同じように緊張したり、ドキドキしたりする」と、感想を述べている。また、映画のキーでもある“嘘”については「目撃証言ですら、脳の中で再構築されて、自分が見た顔ではない、よく見た顔が犯人だと証言してしまうことがある」と、人間の記憶や言説の不確実性について語り、悪意を持って操作される可能性についても示唆している。

パート2では、サイコパスの見分け方や映画の後半のキーワードである「正義」ついて語られている。「正義同士が争わされる。人間は自分のことを正義と思いたがる。仮にもし人間のそういう性質を利用する人がいたら恐ろしい結末が待っている。それは、サイコパスかもしれない」「正義と正義が異なるベクトルを向いているとき、そのふたつがカタストロフを巻き起こすのではないか…。強く感じる緊迫感も魅力」と語る。また、自分を操作しようとする人を見抜く方法や、情報にあふれる現代で大切なことなども語られる。

「私は確信する」は、2000年2月のフランス南西部トゥールーズで、38歳のスザンヌ・ヴィギエが3人の子供たちを残して忽然と姿を消した、実際に起こった「ヴィギエ事件」を映画化した作品。”ヒッチコック狂”の被害者の夫・ジャックによる“完全犯罪”と世間を騒がせた。実在の敏腕弁護士デュポン=モレッティ役に、ダルデンヌ兄弟の「息子のまなざし」などで知られるオリヴィエ・グルメ。容疑者の無実を確信するシングルマザーのノラは、フランスではコメディエンヌとしても人気が高いマリーナ・フォイスが演じている。

私は確信する
2021年2月12日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:セテラ・インターナショナル
©Delante Productions - Photo Séverine BRIGEOT

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