小浜でワイナリー開設へ Uターンのシニアソムリエ 耕作放棄地でブドウ栽培

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ワイン用のブドウ植樹会を開き、苗木を植える川島さん=雲仙市小浜町

 「自分にはワインを造る技術がある。景観を損なう耕作放棄地をブドウ畑に変えられないか」。日本ソムリエ協会認定のシニアソムリエでイタリア料理シェフ、川島貴宏さん(44)は昨年4月、長野県から出身地の長崎県雲仙市小浜町にUターンし、小浜温泉街にワイナリー(ワイン醸造所)の開設を計画している。小浜産のワインと食事を地元で提供しようと、同町の丘陵地などの耕作放棄地でブドウの栽培を始めた。
 川島さんは中学卒業後、大阪府の調理師専門学校でイタリア料理を学び、国内や本場イタリアで料理の腕を磨き、ワインの知識を深めた。27歳でソムリエの上位資格「シニア」を取得している。
 将来的には小浜町で料理をしたいと考えていた川島さんは「耕作放棄地を活用すれば景観も良くなり、地域のためにもなる」とワイン造りを構想した。長野県の個人経営のワイナリーで2年間働き、昨年4月に帰郷。耕作放棄地などを借りてブドウの苗木を植え、11月に「株式会社 小浜温泉ワイナリー」を設立した。
 同温泉街で今年6月ごろにイタリアンレストラン、夏に醸造所を開設する準備を進めている。醸造設備などの資金確保のため、苗木のオーナー会員(個人1口3万円、法人1口30万円)を募集している。900万円の確保が目標で、これまでに3分の1程度が集まっているという。
 現在は3カ所の農地(計6千平方メートル)に計約1700本を栽培。会員や地元の園児を招いて植樹会も開いた。日中はブドウの木の世話や醸造所開設に向けた業者との打ち合わせをしながら、夜は知り合いのレストランで調理をしたり、家庭などを訪れて調理する「出張シェフ」をしたりして収入を得ている。
 ブドウの木の世話をしていると、通りすがりの地元の農業従事者に声を掛けられ、作業を手伝ってもらうこともある。「うちの農地も使ってよかよ」などと提案を受けることもあるという。
 栽培中のブドウでワインを醸造できるのは、早くても2023年秋ごろになるため、まずはブドウを買い付けて自社で醸造し、今年11月ごろからの販売を目指している。
 苗木の生育は順調で「小浜の丘陵地や海沿いで、それぞれの環境に適した品種のブドウを育てれば、おいしいワインができるはず」と手応えを語る川島さん。「レストランで雲仙産食材のイタリア料理と小浜産ワインを味わえるようにしていきたい。それが農地を貸してくれた地域の方々や、協力してくれた会員の皆さんへの恩返しになる」と意気込んでいる。問い合わせは小浜温泉ワイナリー(電090.6964.5748)。

ブドウの木を植えるために、耕作放棄地の草を刈り整地している=雲仙市小浜町