「悔しさだけ持って…」 “松中塾”で覚醒間近、ロッテ山口航輝が挑む勝負の3年目

ロッテ・山口航輝【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

初の1軍キャンプに臨んでいる山口航輝内野手

ロッテの山口航輝内野手は沖縄・石垣島に降り注ぐ日差しを浴び、こんがりと日焼けしていた。「悔しさ」を胸に臨んでいる初の1軍キャンプ。昨季はファームで全70試合に出場。8月下旬以降は4番に定着し、打率2割5分8厘、7本塁打をマークしたが、決して満足いくシーズンではなかった。【上野明洸】

昨年、チーム内に新型コロナウイルスが流行し大量入れ替えとなった際に、同級生の藤原恭大外野手らが昇格しブレーク。しかし山口が1軍に呼ばれることはなかった。

1軍の舞台で活躍する若手の選手達を見て凄いなと思った半面、悔しさも大きかった。その悔しさを胸にオフのトレーニングに取り組んできた。

「上がれなかった悔しさだけをずっと持ってやってきました。下半身や体幹を鍛えて体づくりをしてきました」

昨年は左足手術の影響もあり、キャンプは2軍スタート。高校時代も怪我で投手を諦めた経験があるだけに、怪我をしない体づくりの大切さは身に染みて分かっている。

「今年はまず怪我をせずに、1年間野球をするのが目標。その次に1年間1軍で戦うっていうのがあります」

“松中塾”の効果もあり、シート打撃では柵越え連発

キャンプでは松中信彦臨時打撃コーチからも指導を受けている。「コースに目付をして、一発で仕留めにいくというのを教わりました。自分は上半身だけで打ってしまうことが多かったので、股割りティーをして下半身の使い方を練習しました」。

“松中塾”の効果もあってか、第2クールの打撃練習ではドラフト1位鈴木昭汰投手らから柵越えを連発するなど、猛アピールを見せている。

「(松中氏に)教えてもらってからバッティングの内容も変わってきていると思います。下半身も使えて打球も飛ぶようになった。きついですけど、自分の為なので」と手応えを口にした。

これまでは外野手でとして出場してきたが、昨年のフェニックスリーグからは一塁にも挑戦している。「まずしっかりとれるアウトは取らないと、迷惑をかけるので……」。キャンプでは守備力アップにも取り組んでいる。

11日の紅白戦は雨天中止となったが、事前に発表されていたスタメン表には白組の「4番・一塁」に山口の名前があった。12日からの1軍の那覇遠征メンバーにも選ばれた。首脳陣からの期待の高さも伺える。

「今年は勝負なんで、まずは打つ方でアピールして1軍に残れるようにしたいと思います」。プロ3年目の弱冠20歳、期待の右の大砲候補が1軍の舞台で花を咲かせる日は近い。

○山口航輝(やまぐち・こうき)2000年8月18日、大阪府箕面市出身。20歳。小1から野球を始め、中学時代はナガセボーイズに所属。明桜高(現・ノースアジア大明桜)に進学後、2年夏にはエースとして甲子園出場を果たすも、金足農業高の吉田輝星(日本ハム)と投げ合った秋田県大会決勝で一塁牽制の帰塁の際に右肩を亜脱臼。甲子園では登板なしに終わる。3年夏は県大会決勝で金足農業高と対戦し敗退。2018年のドラフトで4位指名を受け入団。183センチ、97キロ。右投げ右打ち。(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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