川崎市が「内水氾濫ハザードマップ」公表 浸水の深さ、一目で

想定される浸水深を色分けした「内水ハザードマップ」

 川崎市は12日、最大規模の降雨があった場合の内水氾濫による浸水深を想定した「内水ハザードマップ」を公表した。浸水想定エリアは市全域の約15%。多摩川に近い高津区では最大想定2メートル以上の地点もあった。初の取り組みで全7区それぞれの地図を作製。市ウェブサイトで公開するとともに、15日から各区役所などで配布する。

 内水氾濫は、下水道など排水施設の能力を超えた量の雨水がマンホールなどからあふれ、浸水被害が起きる現象。マップは1時間に153ミリの最大規模の雨が降った場合を想定し、浸水深を「20センチ未満=道路冠水相当」(黄色)、「50センチ~1メートル=大人の腰まで」(青色)、「2メートル以上=1階の軒下以上」(赤色)といった5段階に色分けした。

 市上下水道局によると、浸水想定エリアの占める面積は、川崎区約26%、幸区約23%、中原・高津区が各約19%、多摩区約17%、宮前区約8%、麻生区約5%。最大想定の2メートル以上は、多摩川近くの高津区諏訪2丁目、久地2丁目など。1メートル以上は標高が低い地点や雨水を排水する「樋管」の周辺に多く、中原区の上丸子山王町2丁目や同宮内1丁目などがあった。

 同市内の浸水被害を巡っては、2019年10月の台風19号による記録的大雨で多摩川の水位が上昇、雨水が排水管を逆流して広範囲が冠水した。ただ、今回の想定に同様のケースは反映していない。

 マップには、浸水被害を防ぐ防災情報や避難警戒レベルなども盛り込んだ。3月に市内の自主防災組織、6月に市内全戸に配布予定。同局は「内水氾濫時の状況を確認し、いざという時は適切な行動で大切な命や生活を守ってほしい」と活用を呼び掛けている。

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