「あんな経験、もう二度としたくない」楽天・森原 誹謗中傷を浴び続けた昨季から“変身”

今季はセットアッパーに復帰する楽天・森原

屈辱をバネに雪辱へ――。楽天のセットアッパー・森原康平投手(29)が不退転の決意で春季キャンプに臨んでいる。ブルペンで入念に剛球を投げ込むその表情に笑みはない。

「昨年の悔しさを今季に活かしたいですから。あんな経験、もう二度としたくないですし」

プロ5年目右腕は昨季、先発に転向した松井裕樹投手(25)の後釜としてシーズン開幕からチームの守護神に君臨。開幕直後は8試合の登板で1勝4セーブ1ホールドと好成績を残すなど重責を担った。だが、開幕からおよそ1か月が経った7月22日のオリックス戦で運命が一変した。2点リードの9回にマウンドに上がったものの、相手打線につかまり1回持たず4安打6失点KOで試合も逆転負け。この一戦をきっかけに成績は下降線を辿った。

「今だから言えるのですが、実は開幕直後から結果こそ良かったものの、自分の感覚では『ちょっとおかしいな』というのがありまして。原因は開幕が6月にズレ込んだ調整の難しさだったり、自分が(投球時に)力めるポイントで力めないという違和感とか。感覚的な部分でもう一つ足りないな、というのがずっとあった。そんな最中だったので。悔しいですね」

不調が続くと心無いファンからネットを中心に誹謗中傷が殺到。これには相当落ち込んだという。

「友人からLINEなどがすごく来て『お前、大丈夫か』と。僕の周りの家族や親にも心配をかけてしまった。だから自分自身よりも周囲に迷惑をかけてしまった、という感じです。同時に、抑えと言う役割の重大さを再認識しました。毎試合チームの勝利がかかるので、やはり(8回に登板する)セットアッパーとは違う場所なんだなと」(森原)

今季は松井の守護神再転向に伴い、一昨年に好成績(64試合で4勝2敗29ホールド防御率1・97)を残したセットアッパー役に復帰予定。苦い経験を糧に再起を図る。

「今はつらい経験をさせてもらえたことにむしろ感謝している。それを自分の成長のために次に活かせたら、あの時のことは無駄じゃなかった、と思えますから。いや、そう思えるようにしたい。そのためにも今シーズンは1年間を通して一軍で投げ続ける。そこを目標にしていきたい」

チームに電撃加入した田中将大投手(32)から直々にスプリットの握りを伝授された右腕。2年ぶりの躍進に向け余念がない。

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