佐世保に衝撃 SSK新造船休止発表で不安広がる経済界

「新造船休止は、SSKが生き残るための苦渋の決断」と語る名村社長(手前)=佐世保市内

 佐世保重工業(SSK)の新造船事業休止が発表された12日、地元佐世保に衝撃と動揺が走った。250人規模の希望退職者も募る方針で、従業員は将来の生活を不安視。新型コロナ禍で地域経済は疲弊しており、経済界も「大きなダメージを受けるのではないか」と危惧する。
 SSKは同日午後4時からの記者会見と前後し、従業員らに方針を説明した。従業員の30代男性は「やっぱりかという感じ。(事業休止は)何となく予想はしていた」と落胆。新規受注がなく、社内には先行きを案じる声が出ていた。会社存続のため「仕方ない」と理解を示す一方で「今後は本当に大丈夫なのか…」と不安を漏らした。
 SSKは5月に250人の希望退職者を募る。「職場には若い世代が多いので心配。残っても地獄、辞めても地獄にならないか」。設計担当の40代男性は表情を曇らせる。SSK労組の大田保則執行委員長は「経営陣は(人員整理の前に)他にできることがあったのではないか」と疑問視。「SSKの中心にある新造船事業が消えてしまうのは悔しく、残念でならない」と肩を落とした。
 佐世保商工会議所の金子卓也会頭は「事業運営体制の見直し・強化により、真の再建が実現されることを期待する」とコメント。ただ、地元経済への影響は非常に大きいとし「今後も雇用維持と、取引企業への配慮は引き続きお願いしたい」と注文した。
 ある地元経営者は「新型コロナの影響でどの企業も疲弊している。地元企業だけで退職者の受け皿を用意するのも容易ではないだろう」と懸念を口にした。

 


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