コロナ禍でのペット飼育 「もしも」のために命守る備えを 引き取り先の確保必須

保護犬の世話をしながら「もしものときにサポートしてくれる人を3人はお願いしていてほしい」と語る木村さん=長崎市上戸石町

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて自宅で過ごす時間が増えたことなどから、新たにペットを迎え入れる家庭が増えている。飼い主が感染し、引き取り先探しに苦慮する事例も相次いでいることから、動物保護団体の関係者は「もしものことがあったときのために、ペットの命を守る備えを」と啓発に力を注いでいる。
 長崎市の動物保護団体「長崎ライフオブアニマル」代表の木村愛子さん(43)の自宅には、さまざまな事情で手放された保護犬約50匹が、のんびりと過ごしている。飼い主の病気や高齢化のほか、餌や水を十分に与えず放置するネグレクトによる動物虐待に苦しんだ犬もいる。
 コロナ禍のペットブームについて「先々のことを考えず、安易な気持ちで衝動買いした人もいるのでは」と懸念。孫にせがまれてペットショップで大型犬の子犬を購入した高齢者からは「こんなに大きくなるなんて思わなくて。もう飼えない」と相談された。「半年後や1年後、そういう人がもっと増えるのでは」と危惧する。
 昨年12月以降は、コロナに感染した飼い主やその親族からの相談もあった。ある1人暮らしの高齢者は先月、入院中に重症化して亡くなった。親族が高齢者宅に通って犬の餌やりや水やりなど世話をしていたが、親族宅では飼えず、引き取り先はすぐには見つからなかったという。
 木村さんはペットの命を守る備えとして、緊急時にペットを預かったり、餌やりに自宅に通ったりしてくれる人を「最低3人は確保してほしい」と訴える。支援者にペットに関する注意事項が伝わるよう、自宅玄関の内側などに特徴やアレルギーの有無、薬の種類、かかりつけ医などの情報を書いた紙を貼っておくことも勧めている。
 生き物は生活に癒やしを与えてくれる存在だが、木村さんは「家族も含めて十分に検討した上で迎え入れて。飼いたい犬と、体力的に飼える犬は違う。しつけも必要。最期まで育てられるのかよく考えて」と呼び掛けている。

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