「地震保険」の備えは必要?どのように使う保険か解説、建物と家財の保障はどう考える?

2月13日夜、福島県沖を震源としたマグニチュード7.3の地震がありました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。気象庁は、今後1週間程度、引き続き地震に注意が必要と呼びかけています。

2011年3月11日マグニチュード9.0の地震が東日本を襲ってからもうすぐ10年が経ちます。南海トラフ大地震は、今後30年で70〜80%の確率で発生すると予測されています(地震調査委員会)。もし発生するとかなり深刻な災害になるでしょう。

世界の中でも、日本という国土は、災害大国であるということを知っていますか? 世界全体に占める日本の災害割合は、次のようになっています。

・マグニチュード6.0以上の地震回数20.8%
・活火山数7.0%
・死者数0.4%
・災害被害額18.3%

災害の多い地域に住んでいると思ってしてしまうのは私だけではないでしょう。

新型コロナウイルスの影響で、混乱を起こしているときに地震などの災害はさらに不安が募ることになります。医療体制も心配になります。地震などの災害の備えはしっかりしておきたいです。今回は地震保険についてお話しをします。


地震による被害は大きな損害になる可能性が

そもそも「地震保険は入っておいた方がいいのか?」という疑問があると思います。基本的には加入をした方がいいと考えます。

なぜ、地震保険が必要なのか? というと、地震が起こった時の損害額が大きいからです。住んでいる家が壊れれば再建費用は、かなりの金額です。さらに住宅ローンなどを組んでいる場合には二重ローンになってしまいます。それ以前に、被災してからの生活資金がまず必要になります。つまり生活を立て直す費用ですね。

地震は滅多に起こりませんが、もし起こったときの損害はとても大きなものになります。ですので保険で備えた方がいいのです。

地震に対応している保険は、地震保険だけ

火災保険に入っているので、さらに地震保険に入る必要はないのでは? という質問を受けたことがあります。

火災保険は、地震・噴火・津波などの免責があります。つまり地震が原因で起きた火災・水災などの災害については、地震保険しか補償がありません。また津波で自動車が流された場合でも、基本的には自動車保険では補償されません。

地震・噴火・津波などの損害は、極めて巨大な損害になるので、このような免責があるのです。

地震保険は、家を再建するためではなく、生活を再建する保険

地震保険に入っていると、自宅を再建できるのか? という質問もありましたが、これは残念ながら難しいかも知れません。というのは、地震保険の加入は、火災保険とのセットでないと入れません。そして補償額は火災保険の50〜30%までです。つまり、自宅を再建する場合には、地震保険の補償額では足りないということになります。では、役に立たないのかというとそうではありません。地震保険の目的は、自宅の再建と言うよりは、生活の再建の役割が大きいのです。

家財の地震保険を優先して考える

地震保険には、2つあります。それは「建物」と「家財」です。それぞれに契約が必要になります。建物だけの地震保険に入っていると、「家財」の補償はありません。逆も同じです。

では、両方に入っておく必要があるのかというと、もちろん両方に入っておくのが安心ですが、私は「家財」を優先して入るのをお勧めしています。

というのは、マンションなどの場合は、管理組合が建物の地震保険に入っている場合が多いので、家財を中心に考えれば良いでしょう。また高層マンションなどは免震構造になっているので、地震に強い設計ですが、高層階などは、揺れが大きく家財の被害が大きい可能性があります。ですので、まず「家財」の地震保険を優先して入っておくのがいいでしょう。

戸建ての場合では、住宅ローンがかなり残っている場合などは、二重ローンになるのが心配ですから「建物と家財」の両方を検討された方がいいと思います。

地震保険はどこで加入しても同じ保険料

地震保険は単独で加入することができないので、現在の加入している火災保険のセットで加入する必要があります。

地震保険というのは、どこの損害保険会社で加入しても同じです。同じ補償で、同じ保険料になります。ですので、現在加入中の火災保険のセットでも申しこんでください。もちろん途中からの加入もできます。

なぜ、地震保険はどこの損害保険会社で申し込んでも同じなのかというと、前に述べたとおり、一度の被害額が膨大になる可能性があるので、民間の損害保険会社のみで地震保険を運用することが困難です。ですので、政府が再保険を引き受ける形になっているので、低廉で安定的に地震保険を運用することができるのです。

ですので、地震保険はどこで加入しても同じ保険なのです。

地震保険の上乗せ保険がある

地震保険は、生活を再建するための保険で、家を再建するためには、補償額が少ないと説明しましたが、上乗せができる保険もあります。

例えば、ソニー損保や損保ジャパン、東京海上日動などの火災保険では、特約として、地震での上乗せとして100%までの補償をつけることもできます。また、少額短期保険のSBIいきいき少額短期では「SBIいきいき少短の地震の保険」は、火災保険の特約ではなく単独の保険として加入することができます。

改めて、備えについて考えておきましょう。

内閣府 防災情報

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