新型コロナ患者受け入れ 「検討」「準備」36% 長崎医療圏の病院 長崎市、転院促進で支援金

 長崎、西海両市と西彼長与、時津両町の長崎医療圏の53病院のうち36%の19病院が、新型コロナウイルス感染症の患者や回復患者の受け入れについて「条件が整えば検討する」「準備中」としていることが16日、長崎市が公表したアンケート結果で明らかになった。同市は回復患者の転院促進のため病院に支援金を支給し、感染ピーク時も病床が逼迫(ひっぱく)しないよう医療体制の構築を急ぐ。
 長崎医療圏では年末年始の“第3波”で感染者が急増。先月中旬にはコロナ専用病床の約9割が埋まり、医療崩壊の瀬戸際だった。田上富久市長は急きょ民間医療機関に対し、公的医療機関が新規のコロナ患者の治療に集中できるよう、感染疑いのある患者や国の退院基準を満たした人を受け入れるよう検討を求めた。
 アンケートは先月29日~今月8日、長崎医療圏の53病院に実施し、44病院(公的4、民間40)が回答した。長崎大学病院や長崎みなとメディカルセンターなど8病院はコロナ患者を既に受け入れており、15病院が「条件が整えば検討する」、4病院が「準備中」とした。17病院は感染者がいる区域と別の区域を分ける「ゾーニング」やスタッフ確保の難しさなどを理由に「困難」という。
 「既に受け入れ」「準備中」「条件が整えば検討」とした計27病院のうち、8病院は受け入れ可能な患者の属性について「軽症」とし、11病院は「感染疑い」と回答。24病院は「退院基準を満たした患者(特に高齢者)」と答えた(複数回答)。
 高齢者は退院基準を満たしても、別の疾患の治療で入院が長引き、コロナ病床が空かないケースも多いという。このため市はコロナからの回復者の転院を受け入れた病院に、患者1人当たり25万円を支給。看護師の人件費や差額ベッド費用などに充ててもらう。3月末までに最大100人を想定し約2500万円を一般会計補正予算案に盛り込んだ。全国では政令指定都市の千葉市などが同様の制度を設けている。
 また高齢者施設などでクラスター(感染者集団)が発生した場合の患者について、計15病院は「既に受け入れ」「条件が整えば受け入れる」と回答。このうち認知症の人は対応が難しいとする病院もあった。
 市の担当者は「県とアンケート結果を共有し、感染拡大時には医療機関の役割分担に生かしたい」と話している。

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