「間違った発言 遺憾」 ヘイトスピーチ条例巡り川崎市長

福田紀彦・川崎市長(資料写真)

 川崎市の福田紀彦市長は16日、ヘイトスピーチに刑事罰を科す市条例について「間違った情報が発言されているのは遺憾」との考えを示した。定例会見で記者の質問に答えた。市内では差別主義者の瀬戸弘幸氏が条例をデマでねじ曲げ、在日コリアンの迫害に悪用する差別活動を連日繰り広げている。

 福田市長は「個別の街宣活動へのコメントはこれまでしておらず、今後もするつもりはない」と前置きした上で、「一部の発言は条例を理解していないか、あえて間違えているのか、間違った情報を発言されているのは遺憾だ」と述べた。

 瀬戸氏が街宣車で拡散させているうそのアナウンスを念頭に置いたものとみられる。

 市差別のない人権尊重のまちづくり条例は単なる悪口や政治的主張を罰則対象外としているが、瀬戸氏は「北朝鮮や韓国の悪口を言ったら日本人に罰金50万円を科す憲法違反の条例」と喧伝(けんでん)。デマで敵意をあおった上で「左翼や在日朝鮮人のやりたい放題。川崎市を取り戻すため一緒に立ち上がろう」と在日コリアンの排斥を呼び掛けている。

 街宣車は1月下旬からJR川崎駅周辺の繁華街を頻繁に走り回り、在日コリアン集住地区の川崎区桜本でも確認されている。

 条例を巡って市長は15日の施政方針演説で「条例に基づく施策を着実に進め、ヘイトスピーチ解消へ啓発に重点的に取り組む」と述べていた。

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