年間60万円を最大6人に給付… ポニーが新設した「奨学金制度」に込めた想い

ポニーは年間総額360万円に及ぶ「給付型奨学金制度」を新設

挑戦する子どもたちを経済的に応援、3種類の給付型奨学金を用意

「プロ野球選手になりたい」「メジャーリーガーになりたい」と目標を掲げ、実現させようとチャレンジし続ける子どもたちがいる。だが、現実に目を向けると、経済的理由からチャレンジを断念せざるを得ない子どもたちは少なくない。野球を離れてもなお、社会に有益な人材を送り出したいと願う日本ポニーベースボール協会(以下、ポニー)は昨年12月、「SUPER PONY ACTION パート2」を発表し、年間総額360万円に及ぶ「給付型奨学金制度」を新設した。

ポニー(PONY)の基本理念でもある「Protect Our Nation’s Youth(国の宝である青少年の成長を守る)」の下、夢を追う子どもたちを最大限にサポートしたいと願い、独自の奨学金制度を導入することになった。社会の国際化が進む中、野球界でも早くから国境を越え、海外へチャレンジする選手が出てきた。同時に、国内でも独立リーグやクラブチームからNPB入りを目指す人材は多い。そこでポニーでは「チャレンジングマインド」を持つ子どもたちを経済的に応援しようと、3種類の給付型奨学金を用意した。

1、夢果てるまで 給付型奨学金
野球の本場であり、ポニーが本部を置くアメリカでメジャー球団や独立リーグに挑戦する選手を支援対象とし、毎年2人まで、1人あたり年間60万円を給付する。

2、目指せNPB 給付型奨学金
国内の独立リーグやクラブチームからNPB入りを目指して奮闘する選手を支援対象とし、毎年2人まで、1人あたり年間60万円を給付する。

3、韓俊グローバル人材育成 給付型奨学金
アメリカの本部を中心に世界40以上の国と地域にネットワークを持つポニーならではの繋がりを活用し、文武両道を目指すため海外留学したいと願う選手を支援対象とする。中学、高校、大学と、どの年代からでも海外留学に挑戦しようという選手を毎年2人まで、1人あたり年間60万円を給付する。

選考方法は文武両道、希望者は「挑戦心」を綴った論文提出

奨学生として対象となるのは、現役のポニー登録選手のほか、ポニーリーグの卒業証書を持つ卒業生だ。ポニーは5~6歳児を対象とした「シェットランド」から、19~23歳の成人を対象とした「サラブレッド」まで、年齢によって8つのカテゴリー分けがされており、このすべての登録選手、ならびに卒業生が対象となる。

奨学金として給付される年間60万円という額が決まった背景について、那須勇元事務総長は次のように語る。

「アメリカのマイナー選手や独立リーグの選手、国内の独立リーグでプレーする選手を見ても、なかなか給料が足りず、食費もままならない現状がある。夢を実現させるため、たくさん苦労はあると思いますが、アスリートとしてせめて食事くらいは満足にとってほしいなと。月に5万円の食費補助があれば、おそらく食べる分には困らないだろうと思うので、そこからまたチャレンジしていってもらいたいと思います」

総額360万円の奨学金は、ポニーを支える協賛企業からの支援や寄付金などから拠出される予定。経済的な理由から夢を諦めていた子どもたちが一歩踏み出すきっかけになるよう整備を進めていく。

選考方法も文武両道を貫く。奨学金の利用を希望する選手は、プロ野球選手あるいはメジャーリーガーになりたい熱い思い、海外留学で何を学びたいか、どんな成長を遂げたいかなどを、自分の言葉で論文にまとめて協会に提出。その後、NPBで活躍した広澤克実理事長との面接を経て、理事会で正式決定していく。

子どもたちに夢を諦めずに追い続けるよう語りかけるだけにとどまらず、協会として実際にサポートする具体策を示した例は他に類を見ない。「国の宝である青少年の成長を守る」という大人の責任を示した、ポニー流の新たな挑戦と言えそうだ。(Full-Count編集部)

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