旧島原藩の史料調査進む 島原図書館などに保管 1万3000点分の目録発行目指す

旧島原藩に由来する資料の調書を作成する岩崎准教授(右)ら=島原図書館

 長崎県島原市は、島原図書館などに保管されている旧島原藩由来の史料調査を進めている。2018年度に始まった調査の報告として22、23両年度の2回に分け、約1万3千点分の目録を発行する計画だ。
 同図書館は藩主・松平家が収集した文学、歴史、風俗に関する古文書などの史料約1万点(県指定文化財)を含む「肥前島原松平文庫」を所蔵。同文庫の目録は1961年に発行されたが、旧藩士や旧商家などから寄贈・寄託された史料が年々増加し、多くは未整理の状態になっている。
 文化庁の補助を受けた市は当初、2018年度から4年かけ、約8千点分の目録発行を予定していたが、未整理の史料数が想定を上回ることが判明し調査の延長が決まった。調査委員長は九州大の岩崎義則准教授(52)が務めている。
 通算14回目の調査(17~19日)が実施された18日、同図書館では岩崎准教授ら3人が、江戸から明治初期の政治に関する意見書などで構成される旧藩士中根家の史料を主に調査。名称、年代、作成者、概要などを調書に記入していった。
 19年度までの調査で4600点超の調書が完成。20年度は、島原城の収蔵庫に保管されている書物なども含め計約3千点の調書を作成する。岩崎准教授は「松平文庫には貴重な史料が多い印象。興味深い史料の発見に期待しながら今後も調査に臨みたい」と話した。

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