<金口木舌>そのサービス消費者目線?

 那覇市の商業ビルにあるコンビニエンスストアは静けさが漂っている。週末の昼間で客もまばらだ。店員を介さず客が自ら会計する「セルフレジ」を導入。「お弁当を温めますか」という店員の声も聞こえない▼レジに触れると複数の支払い方法、レジ袋購入の有無が表示される。操作を誤ると機械が止まり、その度に事務室にいる店員を呼ぶ。エラーを連発し冷や汗が出た

▼コンビニや大型スーパーを中心に導入が進められている「セルフレジ」。運営経費の削減、人手不足の解消が目的だ。動画で使い方を分かりやすく説明する店舗もあれば、一切ないところもある。使いにくいと足が遠のく

▼スーパーによっては、店員が商品のバーコードを読み取り、客は機械で精算のみを済ませる「セミセルフレジ」の設置店舗もある。定員が袋詰めまで全て手掛けるレジとセルフのどちらも設けている店は、客のニーズに応じて選べるからいい

▼無人化といえば、全国の鉄道会社が赤字削減や人員不足のため、駅の無人化を進めている。車社会の沖縄には無縁のようだが、旅先で無人化の駅があれば不便を強いられる人がいるだろう

▼経費削減と効率性の追求は企業の利益につながるが、買い物弱者を生み出す危うさをはらんでいる。大切なのは消費者目線があるかどうかだ。消費者が安心できるのは選択肢の多い環境だろう。

© 株式会社琉球新報社