東京商工リサーチ横浜支店が3日発表した2月の神奈川県内の企業倒産状況（負債総額1千万円以上）によると、件数は前年同月比6.9％減の27件、負債総額は170.5％増の53億7700万円だった。件数が前年同月を下回ったのは13カ月連続。2020年度の倒産件数は約30年ぶりの低水準になる可能性があるという。
原因別では「販売不振」が15件で最多。「赤字累積」が11件で続いた。
産業別で最も多かったのは「卸売業」の6件。「卸売業」「不動産業」「運輸業」が前年より増える一方、「建設業」「製造業」「情報通信業」は減少した。
中でも「情報通信業」は20年12月以降3カ月連続でゼロ。同年4月～21年2月の累計も10件と、前年同期（23件）と比べ半減した。新型コロナウイルス感染拡大の影響による在宅勤務の普及などを背景にIT業界が好調で、倒産件数も減少している。
一方、負債総額は「5千万円未満」が13件と、約5割を占めた。ただ、「10億円以上」の大型倒産や「5億円以上10億円未満」がそれぞれ1件あり、負債総額を押し上げた。従業員別では「5人未満」が23件。全体の8割を超えた。
県内の倒産件数は、国や金融機関の新型コロナ対策の資金繰り支援などにより抑制された状況が続く。20年4月～21年2月の累計は383件で、前年同期（487件）と比べ大幅減。20年度の件数は、1991年度（388件）に次いで少ない水準になりそうだという。
