3D映像で遠隔診療 長崎大、リウマチ患者に 五島で実証実験

長崎大学関節リウマチ遠隔医療システム「NURAS(ニューラス)」のイメージ図

 長崎大は3日、関節リウマチ患者に対し、患部の立体的なホログラム(3D映像)などを用いて遠隔診療する次世代オンライン遠隔医療システムを国内で初めて開発したと発表した。3D映像などの複合現実(MR)技術は日本マイクロソフト(東京)が協力。長崎大学病院と五島中央病院(五島市)をオンラインでつなぎ同日、実証実験を始めた。
 新型コロナウイルス禍の通院リスクを低減し、離島やへき地で専門的な医療を提供するために開発した。「長崎大学関節リウマチ遠隔医療システム『NURAS(ニューラス)』」と命名。実用化に向け同大と県、五島市、五島中央病院、マイクロソフト社は3日、連携協定を締結。実験で得た情報や経験を共有する。
 五島中央病院の診療室のセンサー兼カメラ3台を使って非専門医が患者の手などを撮影すると、同大学病院リウマチ・膠原(こうげん)病内科の専門医がゴーグル型のコンピューターを通して見ることができる。患者の手などが目の前にあるように立体的に映し出され、3D映像を自由に動かすことができる。専門医は患者と話しながら高い精度での診療が可能となる。
 遠隔診療はテレビ電話やウェブ会議システムなどを用いてもできるが、平面映像(2D)だけでは正確な診断が困難という。
 実証実験は6カ月ほど続ける予定で今月末には、人工知能(AI)で患者の表情から不安や満足度などを評価する機能や、患者との対話を文章に記録する機能などを追加する。
 川上純(あつし)・長崎大大学院医歯薬学総合研究科長は会見で「診療の質の向上、患者や医師の移動に伴う負担軽減など大いに期待が持てるシステム」と説明。将来、このシステムを他の疾患や診療科、他の地域や病院へ拡大し、5Gによる高速通信技術と連携し、学生のオンライン実習にも活用する考えを明らかにした。

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