“雲仙合宿”廃止へ

 「朝6時に起きて、諏訪の池まで散歩して。みんなで広間に集まって自習、部屋に戻ってまた自習。何人かで先生のとこに行って、質問したり、個別に指導してもらったり」「楽しかった思い出しかないですよ。あんまり真面目に勉強しなかったのかも…」▲幸か不幸か、筆者の通った学校には当時この行事がなく、経験者の同僚たちに遠い記憶を振り返ってもらった。場所は雲仙、平戸に稲佐山。旅館に缶詰めにされて1週間、県立高の生徒がみっちり受験勉強に励む夏の学習合宿▲草創期は隠れた「長崎名物」だったらしい。〈東京での学生時代、全国の仲間から驚かれたものです〉と教えてくれたのは県立長崎南高校の卒業生で「ながさき時評」を執筆いただいている県職員OBの藤泉さん▲学校によっては半世紀超の歴史を持つ勉強合宿、数日前の紙面に「新年度から原則廃止」の記事があった。先生たちの長時間労働解消を図る働き方改革の一環という▲言うまでもなく、先生も1人の「働く人」。この仕事にだけ「情熱」や「熱血」が闇雲(やみくも)に要求される道理はないのだろう。時代に合った負担軽減は当然だ。それでも▲学校の話題が「働き方」の文脈で語られるたび、寂しさに似た違和感がなぜか消えない。教育現場には“ありがた迷惑”なのだろうか。(智)

 


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