三菱重と大島造船所 香焼工場売却交渉 月内合意へ

大島造船所への売却交渉が合意する見通しとなった三菱重工業長崎造船所香焼工場=2017年12月、長崎市

 三菱重工業長崎造船所香焼工場(長崎市香焼町)の大島造船所(西海市)への売却交渉が月内にも合意する見通しであることが6日、関係者への取材で分かった。国内最大級の建造ドックなど主要施設を早ければ新年度中に譲渡する方針。2019年末に始まった交渉は、新型コロナウイルス感染問題などで長引いたが、有効活用にめどが立った。

 譲渡されるのは二つのドックのうち、南側の「100万トンドック」と呼ばれる建造ドック(長さ約千メートル、幅100メートル)や工場棟、岸壁など。大島は主力のバルクキャリアー(ばら積み貨物船)生産のさらなる効率化や増産に役立てる。
 北側の修繕ドックは三菱が所有し続ける方針。長崎港松が枝埠頭(ふとう)に大型客船2隻を接岸できるようにする国の2バース化事業を踏まえ、客船修繕事業の拠点化を計画している。
 三菱は中韓メーカーとの競合で、これまで香焼工場で連続建造してきた液化天然ガス(LNG)運搬船の受注がストップ。19年12月に大島との売買交渉を開始し、昨年3月中の合意を目指した。だが、老朽化した設備の査定や改修の費用負担を巡る協議に時間を要した上、接岸中だったイタリア船籍の客船内で集団感染が発生し交渉中断を強いられた。

 一方、三菱は洋上風力発電の工場建設をデンマークの大手メーカーと共同で検討中。香焼工場も候補地とみられる。大島が建造ドックをどう活用するか判断が注目される。

 


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