【新型コロナ】ワクチン、1瓶で7回接種できる体制へ 厚労省容認、テルモも注射器生産

 8日に宇治徳洲会病院(京都府)が、米ファイザーの新型コロナウイルスワクチン1瓶から、7回接種分を採取できると発表したことについて、田村憲久厚生労働相は9日午前の閣議後の記者会見で「否定しない」と述べ、条件付きながら容認する姿勢を示した。他方、医療機器大手のテルモは、先に開発していた新型の注射器で7回分接種できることを実験で確認しており、間もなく生産開始になる予定だ。ワクチンの供給数がまだ少ない中、効率的な接種実施に向け体制が整いつつある。

田村厚労相「エコー検査で筋肉まで届くのであれば」

 9日午前、田村厚労相は閣議後の記者会見で、宇治徳洲会病院が病院スタッフへの優先接種の場においてインスリン接種用の注射針を使い、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン1瓶から7回接種分を採取できることを確認したことについて「エコー検査で調べて筋肉まで届くのであれば、医療機関でやってもらうことは否定しない」と述べた。同病院が使った注射器は皮下注射用で、新型コロナウイルスのワクチンはその下の筋肉まで注射する必要があることから「脂肪が少なく筋肉まで針が届く人でなければ使えない」と条件によることにも言及した。

 この動きとは別に、医療機器大手のテルモは先月、1瓶で6回接種できる注射器を開発し今月5日に厚労省の薬事承認を得ているが、実験で7回接種することもできたと発表した。従来の皮下注射用と比べ針を3ミリ長くしており、新型コロナウイルスのワクチン接種要件である筋肉注射にも対応できる。今月末にも量産体制を整え、生産開始する見通しだ。

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