生活保護巡り区役所窓口で誤説明、横浜・神奈川区が抗議受け謝罪 女性は申請断念

誤った説明で生活保護申請を断念した女性の支援団体から抗議文を受け取る神奈川区福祉保健センターの担当者(左から2人目)=9日、横浜市神奈川区

 横浜市神奈川区の生活支援課の職員が2月下旬、生活保護の申請に訪れた20代の女性に対し、「ホームレスの場合は施設に案内する」などと誤った説明をして、申請を受け付けていなかったことが9日、支援団体などへの取材で分かった。支援団体は同日、再発防止を求めて市に申し入れを行い、区側は説明の誤りなどを認め、「(申請者に)寄り添わない対応は不適切だった」と謝罪した。

 支援団体「新型コロナ災害緊急アクション」(東京)や同区などによると、ネットカフェやカプセルホテル、公園などで寝泊まりしていた女性は2月22日、「アパートで生活したいので、生活保護を申請したい」と同課の窓口を訪れた。

 対応した40代女性職員は、女性の所持金(約9万円)が最低生活費を上回っているとした上で、「申請が却下になる可能性がある」などと誤った説明をした。

 さらに「ホームレスの場合は施設に案内する形になる」などと、施設入所が生活保護の条件と受け止められる説明をしたという。

 生活保護法は本人の意思に反して施設に入所させることを禁じており、厚生労働省も「申請の条件とするのは不適切だ」と自治体に通知している。

 申請書を持参して「申請ができるなら申請したい」と訴えた女性に対し、職員は申請を受け付けず、記録票には「申請の意思なし」と記載していたという。

 女性は窓口でのやりとりをスマートフォンで録音しており、支援団体に相談して問題が発覚した。

 同アクションや「つくろい東京ファンド」、「寿支援者交流会」などの六つの支援団体は9日、横浜市役所で会見し、「生活保護の申請権を侵害する悪質な水際作戦だ」などと抗議。同区福祉保健センターの堀敏彦担当部長らは、説明が誤っていたことを認めた上で「(女性に)申請したいという意思があったので、まず申請を受け付けるべきだった」として、対応の改善や研修に取り組むとした。

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