【新型コロナ】避難者有志が企画の原発事故展、緊急事態宣言で8月に延期 東日本大震災10年「節目でも何でもない」

企画展が延期となり、実行委のメンバーで会見する村田さん(中央)=9日午後、県庁

 東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、県内の避難者ら有志は今月、この10年を振り返る企画展を準備していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で8月に延期となった。

 市民有志でつくる実行委員会のメンバーで、福島県南相馬市で被災した村田弘さん(78)は「事故はまだ終わっていない。もう一度、正面から見つめてほしい」と訴えている。

 企画展「福島原発事故10年~私たちはどこに向かうのか~」は実行委が昨秋から準備を進め、横浜市内で今月2日からの開催を予定していた。ただ、緊急事態宣言の影響で会場が使えなくなり、会場と会期の変更を決めた。企画展では原発事故の責任を問う全国各地の集団訴訟の紹介や原発事故とコロナ禍で浮き彫りになった行政の問題点の検証、エネルギー政策の現状などをパネル展示する予定だ。

 2011年3月11日に政府が発令した「原子力緊急事態宣言」は現在も解除されていない。村田さんにとって、原発事故と新型コロナという二つの「緊急事態宣言」では、被害の実態に向き合おうとしない政府の姿勢が重なるという。「この10年で国の支援は打ち切られ、避難民状態になっている人もいる。私にとっては節目でも何でもなく、この問題を問い続けたい」と話している。

 企画展は8月10~15日にかけて、横浜市港北区のオルタナティブ生活館で開催。詳細はホームページ(https://sites.google.com/view/hukushima31110year/)。

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