豪華で高級であることがもてはやされたバブル期、一般ユーザー向けの高級セダン 日産セドリックをベースにしたリムジンが存在したのをご存じだろうか。今回は後席にテレビや冷蔵庫まで備えた 日産 セドリック ロイヤルリムジンの全貌を写真と共に紹介しよう。
オーテックジャパンが開発したセドリック ロイヤルリムジン
バブル景気真っ只中の1987年、一般ユーザーでも購入できる国産リムジンの先陣を切ったのが、セドリック ロイヤルリムジンだ。
特殊装備車の開発を目的に日産が設立した子会社であるオーテックジャパンが、日産の高級セダン、セドリック(Y31型)をベースに開発した。
ホイールベースを600mm延長
リムジンと言えば、ロングボディ化によって確保された広々とした後席が最大の特徴だ。
後席のスペース確保のためにホイールベースを600mm延長し全長は5,460mm。これによって、見た目も明らかなロングボディとなり、名実ともにリムジンといえる車両に仕上がっている
国産車なのに最高約1,500万円の超高級グレードも
グレードはセレクションI〜IIIの3種類あり、一番グレードが低いセレクションIでも約1,000万円、もっとも高価なセレクションIIIは約1,500万円というまさにバブルならではの価格設定と言えるだろう。
さらに、限られたユーザーにしか売られないモデルであるにも関わらず3グレードも用意していたあたり、バブル期で開発資金が潤沢にあったことをうかがわせる。
後席の特別感を演出するBピラー
外観でもっとも特徴的なのが、前席ドアと後席ドアのあいだにあるBピラーの幅の広さ。小窓まで設けて明らかに後席を別物としたデザインは、後席に特別なVIPが乗り込むことを前提とするリムジンならではの見た目だ。
外観全体のデザインとしては、ベース車両のY31型セドリックを踏襲しつつ、専用品のフロントグリルやBピラーのエンブレム、専用ホイールキャップなどの細かな点がロイヤルリムジン専用仕様となっている。
バブル感満載の内装に加えてFAXまで装備したグレードがあった!
この車にとってメインとなる後席の空間は、重厚感や高級感という言葉がしっくりくる豪華なもの。牛革を使ったシートやウォールナットの木目が映える内装パネルが、いかにも高級な雰囲気を醸し出している。
トップグレードとなるセレクションIIIは、前後席を仕切るパーティションや冷蔵庫、テレビに加え、さらに車載用FAXまで装備することができた。
Eメールが全盛となる前は、FAXがビジネス文書のやり取りに欠かせないアイテムであり、エグゼクティブ層をターゲットにした車ならではの装備の一つといえる。
また、コンパクトで安価な液晶テレビが簡単に購入できる現在とは異なり、後席専用のテレビを搭載していたこと自体、特別極まりない。