他界した久光さんと桑原さんの遺志引き継ぐ ベルマーレと郵便局、小児がん啓発で連携

久光重貴選手

 神奈川県西部の103郵便局と湘南ベルマーレが、小児がんの啓発に向けタッグを組む。昨年12月に亡くなったフットサル元日本代表の久光重貴選手(享年39)と、闘病仲間で先月他界した日本郵便職員が連携を提案。13日に包括連携の締結式を行い、2人の遺志を継いでいくことを誓った。
 
 きっかけは県立がんセンター(横浜市旭区)での出会いだった。肺がん治療のため入院していた日本郵便職員の桑原智さん(62)は19年秋、同室だった湘南ベルマーレフットサルクラブの久光選手が小児がん患者を応援する「フットサルリボン活動」に取り組んでいることを聞いた。

 子どもたちに勇気を与えている闘病仲間に触発された桑原さんは、活動を広めようと所属組織同士の連携実現に動き出した。治療の合間に打ち合わせを重ねてきたが、久光選手は昨年12月に急逝。桑原さんも締結式を1カ月後に控えた2月11日に息を引き取った。

 2人の遺志が込められた包括連携では、同クラブと湘南ベルマーレと、ホームタウンの県西地域の郵便局でつくる「県西部地区連絡会」(5市10町)の計103局が連携。がんの啓発のほか青少年の育成、地域住民の健康増進などをテーマに、小学校での巡回授業や病院への慰問などで協力していく。

 平塚市内で行われた締結式で、湘南ベルマーレの水谷尚人社長は「郵便局という誰もが知っている地域拠点との連携は大きな力になる」と強調した。立ち会った桑原さんの長男圭さん(36)は「父はこの日を本当に楽しみにしていた。遺志をこうした形で継いでもらい感謝しかない」と話した。

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