【春場所】白星発進の白鵬〝取材拒否〟の裏で周囲に強気の「優勝宣言」

寄り倒しで大栄翔に勝った白鵬

大横綱は〝本気モード〟のようだ。大相撲春場所初日(14日、東京・両国国技館)、横綱白鵬(36=宮城野)が小結大栄翔(27=追手風)を寄り倒して白星発進した。昨年は5場所中4場所で休場し、横綱審議委員会は(横審)は「注意」を決議。初場所は新型コロナウイルスに感染して休場を余儀なくされた。それでも、数々の修羅場を乗り越えてきた男は自信満々。弱気になるどころか、周囲に「優勝宣言」までしているという。

白鵬が4場所ぶりに大相撲の表舞台に戻ってきた。横綱土俵入りで花道から姿を見せると館内には大きな拍手が響き渡り、結びの一番ではさらにボリュームが増した。大栄翔を一方的に寄り倒すと、観客席のムードも最高潮に。横綱不在の状況が続いて優勝経験者の人数が増えても、やはり土俵上で見せる存在感は「別格」だった。

一方で、土俵外では〝貝〟になった。取組後は報道陣のリモート取材をスルー。場所前は快く取材に応じてきたが、一転して沈黙を貫いた。不言実行の決意の表れなのか、この日の取組内容に不満があったのか。それとも、何か別の理由があったのか…。横綱の真意は定かではない。ただ、今場所の白鵬は賜杯奪回に並々ならぬ意欲を燃やしていることだけは確かなようだ。

角界関係者は「横綱は何人かの親しい知人に『今場所は優勝します。見ていてください』と自信満々に話していたそうだ。(横審決議やコロナ感染など)いろいろあったが、弱気になっているとか、そういうことは一切ない」と証言した。昨年は春場所で44回目の優勝を果たす一方で、年5場所のうち4場所で休場。横審からは横綱鶴竜(35=陸奥)とともに史上初の「注意」を決議された。

追い打ちをかけるように、再起を目指した初場所は直前になって自身がコロナに感染。再び休場を余儀なくされた。並の力士なら心が折れてしまってもおかしくない。それが、堂々の優勝宣言とは…。大横綱の今場所にかける本気度がうかがえる。コロナ感染から予想以上に回復していることも、自信の裏付けとなっているようだ。

感染直後は体力面や精神的な落ち込みがあったものの、2月の合同稽古では幕内力士を相手に精力的に稽古をこなし「(スタミナ面が)戻ってきた」と回復への手応えを口にした。11日に36歳の誕生日を迎えたが、横綱の最年長優勝記録(千代の富士の35歳5か月)がかかることで、逆にモチベーションを高めている。

ひとまず無難な滑り出しを見せた大横綱は、賜杯奪回で番付の秩序を取り戻すことができるのか。目が離せない15日間となりそうだ。

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