投資の神様「ウォーレン・バフェット」の名前を聞いたことがある方は多いでしょう。
バフェット氏は1930年生まれで御年90歳にして現役バリバリの投資家であり、バークシャー・ハサウェイという超巨大上場企業の経営者でもあります。
筆者は5年ほど前にバークシャーの株主総会に参加した際に、たまたま目の前をバフェット氏が歩いているのを目撃する幸運に恵まれました。その際、あまりの歩くスピードの速さに追いかけられなかったことを覚えています。
そんなバフェット氏が世界中で尊敬を集めているのにはたくさんの理由があります。例えば彼は社会貢献に非常に積極的なことで知られており、彼はその資産のほとんどを慈善団体に寄付することを表明しています。また、経済危機やマーケットが暴落した際などに投資家を勇気付けるウィットに富んだコメントを発信することもよくあります。
しかし、なんといっても彼が尊敬される1番の理由は、凄まじい投資成績を長期的にあげ続けていることです。そのバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが今どんな銘柄に投資しているか興味がありませんか?
バークシャーは2月半ばに、昨年12月末時点の米国株への保有ポートフォリオを発表しました。昨年日本の5大商社に投資したことも話題になりましたが、今回は米国株についてご紹介します。
バークシャー昨年末時点の保有銘柄
まず、保有ポートフォリオのを見てみましょう。明らかに比率が大きいのが全体の約44%を占めているアップル(AAPL)です。
バフェット氏はかねてからアップルのビジネスを絶賛しています。iPhoneが持つ絶大なブランド価値を中心に、App StoreやiTunesなどユーザーがアップルから離れられないエコシステムが完成されている点を高く評価しているのでしょう。
その他には、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、コカ・コーラ(KO)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、クラフト・ハインツ(KHC)などが続きます。
バフェット氏やバークシャーは、ブランド価値が高く消費者の心を離さない企業や、他社が真似しようと思ってもなかなか真似できない企業への投資を好むと言われています。その意味でコカ・コーラやアメリカン・エキスプレスはザ・バフェット銘柄という感じがしますね。
<写真:AP/アフロ>
新たに買った銘柄、買い増した銘柄
続いてバークシャーが新たに保有を開始した銘柄や10~12月に買い増した銘柄をご紹介します。
まず新たに保有が明らかとなったのは、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、シェブロン(CVX)、マーシュ・アンド・マクレナン(MMC)の3銘柄です。バークシャーはこの3銘柄を2020年7~9月期に購入していましたが、非開示とすることが認められ、2020年12月末時点のポートフォリオ発表で保有が初めて明らかとなりました。
ベライゾンとシェブロンについては有名大企業なのでご存知の方も多いかもしれません。ベライゾンは巨大通信会社で、日本でいうNTTやKDDIなどを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。シェブロンはエクソンモービルと並ぶ巨大エネルギー企業、マーシュ・アンド・マクレナンは企業にリスクヘッジのための保険提案などを行っています。
中でもベライゾンについては約86億ドルの大規模な投資を行なっており、バークシャーの米国株ポートフォリオでいきなり6位に入りました。ベライゾンは配当利回りが5%近くあるなど、割安な株価に注目した投資だと考えられます。
続いてバークシャーが買い増しを行なったのはアッヴィ(ABBV)、メルク(MRK)、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY)、RH(RH)、クローガー(KR)、TモバイルUS(TMUS)の6銘柄です。
アッヴィ、ブリストル・マイヤーズ、メルクはともに製薬関連会社であり、バイオ関連分野にバークシャーの注目が向いていることが推測されます。また、ベライゾンの同業であるTモバイルUSも、比較的少額ではありますが保有しています。
いかがでしょうか。今回は投資の神様が今どんな投資を行なっているのかご紹介しました。ご自身の投資スタイルの参考にしていただければ幸いです。
<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>