【長崎県内コロナ感染者】「第3波」1341人 全体の8割 経路不明者が増加 新型コロナ 長崎県内初感染から1年

長崎県内の市町別の感染者数

 第1、第2、第3波と勢いを増して感染が広がり続けた新型コロナウイルス。県内では昨年3月14日に壱岐市で初確認されて以降、1年間で1613人(12日現在)の感染者が確認されている。死亡者は37人。日常が一変したコロナ禍の1年を医療の側面から振り返る。

 長崎県内の感染者は昨年11月まで低い水準で推移していたが同12月以降に急増。県のまとめによると、「第3波」(12月~今年2月)だけで1341人に上り、全体の83%を占めた。
 「第1波」(昨年3、4月)は17人。全国に緊急事態宣言が発令され、県内の小中高校は一斉休校した。県内外で人の動きが止まり、感染拡大を抑制。この間、長崎港に停泊中のクルーズ船「コスタ・アトランチカ」でクラスター(感染者集団)が発生し、県民の危機感は高まった。
 5、6月は感染者ゼロ。それでも感染防止のため、県高校総合体育大会(県高総体)は初の中止となった。
 「第2波」(7、8月)は214人。お盆の帰省者は大幅に減ったとみられたが、初発とみられる事例のうち66%は県外由来だった。
 9月以降は散発的な状況が続いたが、12月に入って状況は一変。都市部で11月ごろから始まった第3波が本県にも押し寄せた。今年1月中旬には長崎医療圏(長崎、西海両市と西彼長与、時津両町)で最大確保病床の89.6%が埋まり、医療体制は危機的状況に陥った。

第3波の感染内訳

 第3波の1341人の感染内訳をみると、初発とみられるのが338人、それ以外の接触者らが1003人。初発事例では40%超が県外に由来し、経路不明も40%を超えた。初発以外の接触者らの事例では、福祉施設や病院、家庭、飲食、職場、学校とあらゆる場面でクラスターが続発した。
 第3波を地域別にみると、長崎市が662人、佐世保市が314人と両市で73%を占めた。長崎市は経路不明が増えていたため、1月中旬に県が同市に独自の緊急事態宣言を発令。県内飲食店に時短要請を出すなどし、2月末までに抑え込んだ。一方、佐世保市は高齢者施設などのクラスター関連が大半。感染経路は追えたが高齢の感染者が多く、入院が長引き、医療体制の逼迫(ひっぱく)状況はしばらく続いた。
 3月に入り、12日までの感染者は1人。県内における第3波は収まっている。


© 株式会社長崎新聞社