【GⅠドバイシーマC】クロノジェネシス無限進化!国内最終追いラスト1F先着11・7秒

暗闇の栗東トレセンで躍動したクロノジェネシス(奥)。世界制覇に確実に近づいている

いざ、世界制覇へ――。UAE・ドバイのメイダン競馬場で行われるGⅠドバイシーマクラシック(27日=芝2410メートル)に出走するクロノジェネシス(牝5・斉藤崇)が15日、栗東トレセンで国内最終追い切りを敢行した。昨年の宝塚記念、有馬記念の両グランプリに勝利して国内を制圧。2021年の初戦は今後のスケジュールを左右する大事な一戦だ。無限の進化を続ける女王の直前リポートをお届けする。

15日午前5時半、静寂の中で国内最終追い切りは始まった。主戦の北村友を背にウッドコースに入ったクロノジェネシス。攻め駆けする調教パートナーのステラリア(3歳1勝クラス)を前に見る形のスタートはこれまでと同じだが、いつものように直線を待ってから馬体を併せるのではなく、5ハロン標識を過ぎたあたりから2頭は併走状態に。これはテンの入りが少し遅いと判断した鞍上の好プレーと言っていいだろう。ペース判断が難しい暗闇の、しかも周囲に馬が一頭もいない状況下での追い切り。ほぼ予定通りの数字(6ハロン83・5―66・7―51・4―37・5―11・7秒)をマークした意味合いは大きい。楽な手応えでクビほど先着したところがゴールだった。

「先週までも良かったんですが、今朝のほうがストライドが伸びている感じがしましたね。無事に終えることができてよかったですし、いい状態できているのは何より。あとは輸送をしてどうかでしょう。僕も土曜日(20日)には日本を出発するので、現地での状態を確認しながら最終追い切りの相談をしたい」と北村友。背中から感じた手応えを伝えると同時に決戦の地・メイダンでの調整に考えを巡らせている様子。初めての海外にも「パートナーが頼りになるので」と不安は見せなかった。

見守った斉藤崇調教師からは及第点をはるかに超える評価が与えられた。「どこが…というのではなく、昨年よりも全体的に良くなった感じ。ここにきてさらに成長しているんですから本当にすごい馬ですよね。検疫に入った当初は食いが少し細くなりましたが、現在は有馬記念(中山)に輸送する前と同じくらいまで戻っていますし、ドバイへの輸送はそれほど難しいわけではない。いい状態でレースを迎えられると思います」と声が弾む。調教助手時代に担当したレッドディザイアでドバイ遠征を経験し、結果も出している人物。希望的観測のコメントではなく、その言葉には重みも感じられた。疑いようのない“好感触”だ。

昨年のフランスダービー馬で今年のサウジカップを制したミシュリフを筆頭に、今年はメンバーが揃うと言われているドバイシーマクラシック。そんなメンバーを相手にグランプリ春秋制覇を果たした日本の女傑がどのようなパフォーマンスを見せるのか? 少なくとも国内追い切りで大きな手応えを手にし期待値はグンと跳ね上がった。

【ラヴズオンリーユーも上々の調整】 クロノジェネシスと同じドバイシーマクラシックに出走するラヴズオンリーユー(牝5・矢作)も15日に国内最終追い切りを敢行。前半のペースが少し遅くなったため、坂路4ハロン56.9―41.2―26.5―12.7秒と数字は地味だが、仕掛けた瞬間の反応とフットワークは上々。こちらもいい状態で出国することができそうだ。手綱を取った岡助手は「以前よりも走りに力みがなくなり、操作しやすくなっていますね。もう少しカイ食いが良ければ…とは思いますし、現地に行って対応できるかどうかでしょうが、そこは昨年に経験している強みがある。(新型コロナウイルスで)競馬はできませんでしたけど、実際にドバイには行っていたわけですし、その時は順応していたと聞いてますから」。開催中止→無念の帰国となった昨年の経験を生かしたいところだ。

UAEダービーに出走するフランスゴデイナ(牡3・森)も15日が国内最終追い切り。坂路で4ハロン53.0―39.0―25.5―12.7秒をマークした。「余力もありましたし動きも体もいいと思います」とは騎乗した松本。

© 株式会社東京スポーツ新聞社