【京都記念】ラヴズオンリーユーが1年9か月ぶりの勝利 復活劇の裏に川田と過ごした濃密な時間

川田との初タッグで復活ムードのラヴズオンリーユー(左)

阪神競馬場で行われたGⅡ京都記念(芝内2200メートル)は、川田騎乗のラヴズオンリーユー(牝5・矢作)が断然人気に応え、オークス以来、実に1年9か月ぶりの勝利をつかみ取った。GⅠでも善戦しながら長らく勝利から遠ざかっていた樫の女王の復活――。その裏には騎手と厩舎が一丸となった“濃厚”な調整過程があった。

道中、離れた4番手で脚をためていたラヴズオンリーユーは鞍上・川田の叱咤に応えるかのように、直線はひと追いごとに伸びて久々に先頭でフィニッシュラインを切った。

「久しぶりにこの馬が勝つことができて何よりです。初コンビでしたが、3週間の間、追い切りをともに過ごし、いろんなことを厩舎にリクエストして、いい時間を過ごしてこれての今日の競馬でした。結果に結びついてうれしく思います」

濃密な時間をこう振り返った川田。実は1週前の追い切りに騎乗した後も「先週の追い切りに乗って感じたことを厩舎に伝え、それをやってもらってきました」と語っていた。

彼のリクエストとは何だったのだろう? 矢作厩舎の岡助手によると「馬の走るバランスについて指摘があったので、水勒(すいろく)ハミからトライアビットに替えたんです。多少当たりは強くなりますが、コントロールしやすくなったことで、調教でも口向きや走るバランスが改善してきました」。

こうして騎手と厩舎が情報を共有→修正して調教を積まれたラヴズオンリーユーの本レースは「動きだすまでにまだ時間がかかっていて、(本来なら)もう少し素早く反応できるとは思うのですが」との川田の言葉通り、ビュッと切れたとは言えないが「道中のバランスがだいぶ良くなっていました。休み明けの内容としては良かったと思います。何より勝ち切れたのが良かったです」と、結果を出せたことが一番の収穫だった。

この日、東京競馬場で仕事をしていた矢作調教師も「メンバーに恵まれたところはあるかもしれないが、ようやく復調気配を見せてくれた。ここまでやってきたことの成果が出てうれしく思う」と復活を喜んだ。

次走はオーナーと相談のうえ、馬の体調を見てドバイか香港(4・25クイーンエリザベスⅡ世C=シャティン競馬場)に決めるとのことだが、「ドバイシーマクラシック(3月27日=メイダン競馬場)ならきれいな馬場でやれると思うし、もう一段階良くなったこの馬の姿が見せられそうで楽しみ」との言葉からも本線はドバイにあるようだ。

超良血馬としてデビューから注目され、オークス馬という称号も得た彼女が、挫折を乗り越えて見せた復活劇。それは川田と矢作厩舎が一丸となって作り上げてきた結果で、ここからさらに本来持つ抜群の切れ味が戻ってくれば、芝の中長距離戦線をけん引することになるだろう。

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