コロナ禍で花粉症関連商品の売上はどう変わった?今シーズンの花粉飛散量も予測

毎年、春先になると憂鬱なるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。花粉シーズンの到来です。今回は、花粉症の予測に関する情報をご紹介するとともに、「目薬」「鼻炎用薬」という関連商品の売上動向について調べてみました。

毎年花粉症に悩まされるという方は、ぜひ参考にしてみてください。


花粉の飛散と花粉症対策関連商品の動き

一般に花粉症の症状を訴える人が増えるのは、2月頃から5月頃にかけてといわれます。花粉症自体は1年じゅう発症する可能性がありますが、症状を引き起こす植物が季節によって異なります。

その中で、2月から4月上旬にかけてのスギ花粉、3月から5月上旬にかけてのヒノキ花粉に対する花粉症の症状を訴える人が最も多く、花粉症の時期というと一般的にこの期間を指します。

株式会社True Dataが設計運用している、全国のスーパーマーケット、ドラッグストア約6,000万人規模の消費者購買情報を統計化したデータから、花粉症に関連が強い「目薬」と「鼻炎用薬」をピックアップしてみました。

図1 目薬(上)/鼻炎用薬(下)の買物指数
※抽出データ:全国におけるカテゴリ「目薬」の週次の買物指数抽出期間は2019年1月14日~2019年6月30日及び2020年1月13日~2020年6月28日。
(出典:True Data 「ドルフィンアイ」/業態:ドラッグストア)
※買物指数(円)とは…来店客100万人あたりの購買金額

花粉の「飛び始め」と売上の「伸び始め」

環境省が公表した2020年12月25日付けの報道発表資料によると、2020年の各地でのスギ花粉飛散開始時期は、青森県を除く全国の地点で2019年より遅くなりました。ところが、花粉症対策商品の売上の伸び始める時期は変わりませんでした。図のように、2019年と2020年の関連商品の購入数が伸び始めたタイミングはほぼ同じでした。

これはおそらく、店舗側で花粉症対策商品の売場を拡大する時期がほぼ毎年同じだからだと思われます。または、花粉症が気になる方は、花粉の飛散開始時期によらず、毎年同じような時期に対策商品の購買行動を行うということなのかもしれません。

花粉の飛散量はどうだった?

次にスギ・ヒノキの花粉飛散量と、そのシーズントータルでの関連商品の売上の関係に着目してみます。

2020年シーズンは新型コロナウイルス感染拡大防止のため3月初めから全国の学校へ一斉休校が要請されました。例年に比べて外出する頻度が減ったことも考慮すべきですが、2020年シーズンは2019年シーズンに比べ、ピーク時の買物指数は7割~8割程度にとどまりました。

環境省の資料に記載されていたデータを計算すると、2020年2月から4月におけるスギ・ヒノキ花粉の実測総飛散数は、前年シーズンに比べ全国平均で約56%でした。2020年と2019年の売上の違いはその影響も強く受けているものと考えられます。

今シーズン(2021年シーズン)はどうなる?

では、今年の花粉飛散量はどうなるのでしょうか。こちらも、環境省の報道発表資料において、2021年シーズンの「スギ雄花花芽調査」の結果が公表されています。

それによると2020年11月から12月にかけて調査したスギ雄花の花芽の数は、「昨年同時期と比較して東北地方と中国地方西部から九州にかけて少なく、その他の地域は多くなっています。例年と比較では北陸地方、近畿地方、中国地方の一部で多くなりましたが、その他の地域は例年より少ない状況』ということでした。

この調査結果だけを考えると、今シーズンの花粉飛散規模は昨シーズンと比べ、東北地方と中国地方西部から九州地方にかけて少なくなるが、その他の地域は多くなると見込まれます。一方で例年の水準と比較すると、北陸地方、近畿地方、中国地方の一部で多くなるものの全般には少なめと見込まれます。

花粉が飛びやすい気象条件とは?

花粉は時期によって飛散する量が異なりますが、それに加え日々の飛散量も気象条件によって変化します。この時期、さまざまな媒体から日々発表される天気予報の中で花粉情報として発表されるものは、これらの要因を総合的に勘案して当日の花粉飛散規模を予測するものです。

日々の花粉飛散量の多少に関わる気象要素は大きく3つです。

毎年この時期、花粉症に悩まされるという方、これら情報を参考にしてストレスの少ない状況を作ってください。

なお、北海道や南西諸島の一部ではスギの植林がほとんどないため、スギの花粉症に悩まされることがないといわれています。現在は新型コロナウイルスの影響で難しいかもしれませんが、テレワーク制度を利用して、この期間は北海道あるいは南西諸島に滞在する――というのが究極の対策かもしれませんね。

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