発足40年と戦後75年を特集 波佐見町文化協会 機関誌34号

「波佐見文化」第34号を手にする児玉さん(前列左)ら編集委員=波佐見町

 東彼波佐見町の文化団体でつくる町文化協会(中尾正嗣会長)が機関誌「波佐見文化」の第34号を発行。協会発足40周年と戦後75年を特集している。町教委で販売するほか、17日午前8時半から同町折敷瀬郷の町総合会館で即売会も開く。

 40周年特集では記念座談会を収録。協会の黎明(れいめい)期を知る人たちに、発足の経緯や活動の歩みを語ってもらった。俳句や合唱、盆栽、史談会など各分野での活動初期のエピソードが披露されている。過去の町民文化祭の写真やポスター、協会の歴史をまとめた年表も付けた。
 もう一つの特集「戦後75年を語る」では、町民の戦争体験記など7編を紹介。このうち「或る老兵の従軍日記」は、中国戦線に出征した戦争体験者(故人)が波佐見史談会に寄せた手記。著者は生前、公表を希望しなかったが、戦争体験の継承や歴史的な価値を踏まえ、文中の登場人物を仮名にして掲載した。
 手記によると著者は1939年5月、第37師団歩兵227連隊の一員として中国に渡り、山西省を中心に複数の戦闘に参加。目の前で仲間が戦死したり、敵兵のおびただしい死体を目撃した体験を克明につづっている。大学ノート50ページ近くの手記を編集委員が手分けして清書し、手書きの地図は実際のものと照合して正確に改めた。
 そのほか会員のエッセーや町内小中学生の意見発表などを収録。編集委員長の児玉涼子さんは「自分にとっても波佐見の新発見、再発見があった。若い世代も手に取って古里の文化活動に興味を持ち、一緒に盛り上げてほしい」と話している。B5判で300部印刷。千円。問い合わせは協会事務局(電0956.85.2034)。

© 株式会社長崎新聞社