紀平“JK最後”の世界選手権 金で新たな門出を自ら祝う

オンラインで取材に応じた紀平

フィギュアスケートの全日本女王・紀平梨花(18=トヨタ自動車)がいよいよ大舞台へ臨む。現在、世界選手権(24日開幕、スウェーデン・ストックホルム)へ向けてスイスを拠点に練習中。4回転ジャンプと表彰台を目標に掲げるが、その一方で今大会は高校生でのラスト試合となる。すでに学科の課題をクリアしており、大会後に卒業予定。4月に入学する早大でも“文武両道”の計画はバッチリで、心身ともに充実している。

紀平は練習を積んでいた米コロラドから今月5日にスイス入り。徹底した新型コロナウイルス対策を施しながら、トレーニングと氷上練習に励む毎日だ。異例な状況での大舞台となるが、練習を終えた紀平は晴れやかな表情でオンライン取材に応じた。

昨年の全日本選手権を連覇し、もはや女王の風格すら漂うが「落ち着いているふうに見えると思うんですけど、焦ったりすることもありますし、世界選手権なのでミスできない気持ちもある。そんなに楽しんでやっているわけではないんですけど」と本音をのぞかせる。

コロラドではリンクを借り切って孤独な練習。チームの仲間と合流した時は「すごい感動しました。わー、人がいるって(笑い)」とテンションが上がったという。4回転ジャンプと金メダル取りに期待がかかる大会へ向けて「どうやったらミスが出ないかを考え、集中してやりたいです。上を目指して強い気持ちで挑みたいと思っています」と決意を口にした。

今大会は“JK最後”の公式試合でもある。紀平は2018年4月に通信制私立「N高校」に入学。授業はもちろん、運動会、遠足など学校生活のすべてをインターネットで行うコロナ時代を先取りしたような高校だ。過去3年間、紀平はスケートで輝かしい成績を収めながら、試合や練習の合間にスマホで勉学に励んできた。その高校生活も3月いっぱいで終了。「卒業までの課題は2月中に完全に終わらせました。今は勉強ではなく、スケートに集中しています」。大会後の3月31日にオンライン卒業式が行われるという。

そして、4月からは早大人間科学部の通信教育課程に進学。昨年9月に卒業した羽生結弦(26=ANA)と同じルートをたどることになる。「大学が始まると、また忙しくなってくると思います」と言うが、準備は万端だ。

「科目登録は終わりました。スケートと連動するようなスポーツや運動系の科目、すごく興味のある栄養学などの分野を選んだので、少しでもスケートに生きてくるといいなと思います」

卒業と入学――。新しい門出に向け、世界選手権金メダルで花を添えたいところだ。

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