第93回選抜高校野球大会(甲子園)が19日に開幕。第1日第3試合は、昨秋の関東覇者で優勝候補・健大高崎(群馬)が下関国際(山口)に6―2で快勝した。
「機動破壊」が代名詞の健大高崎の新看板「長打破壊」は本物だ。昨秋の公式戦10試合で15本塁打は出場校中トップ。初戦では自慢の一発攻勢こそ見られなかったが、要所で貴重な長打を積み重ねた。
2回は2本の適時二塁打で幸先よく2点を先取。序盤の先制パンチで主導権を握り、先発で2失点完投勝利の高松(3年)を盛り立てた。終盤8回にも相手が犯した2つの敵失の直後に、いずれも適時二塁打が飛び出し4得点。優勝候補にふさわしい戦いぶりで初戦突破を決めた。
「長打破壊」を導いた人物がいる。青柳監督からの熱烈なラブコールを受けて2019年に就任した赤堀佳敬コーチ(28)だ。1年時から指導してきた現3年生野手22人の合計本塁打数は242発(19日時点)。強打に導く同コーチの指導の原点は、前任だった盛岡大付(岩手)コーチ時代に遡る。「僕がいた時は佐々木朗希(大船渡のエース=現ロッテ)くんとガッツリやらせてもらいました。ああいう超高校級投手を打ち崩すために練習してきた。結局はそこを倒さないと上では戦えないですから。標準をそのレベルに合わせる。今の甲子園では長打が試合を決めることも多い。超高校級が出てきても動じない練習を普段からやることが大事」
盛岡大付時代から踏襲する練習法がある。10メートル程の距離から打撃投手がほぼ全力で投じる球を打ち返す打撃練習だ。体感速度が速く感じられることで、速球への対応力が格段に向上。「間がないので無駄な動きをしたら打てない。自分から仕掛ける練習にもなる」(赤堀コーチ)。2018年秋季岩手大会で当時最速157キロを誇った佐々木を撃破した成功体験は、新天地でも踏襲され、いま「長打破壊」で高校球界を席巻しようとしている。