非常用電源、神奈川県内自治体の6割が「不十分」 庁舎改修必要や燃料備蓄困難で

小田原市役所

 災害時の住民支援や復旧活動の拠点となる自治体庁舎で、長期の停電への備えが進んでいない。神奈川県と33市町村のうち、庁舎に設けた非常用電源が災害時の人命救助で重要とされる72時間以上稼働できるのは県と13市町で、全体の4割にとどまる。大規模な庁舎改修が必要だったり、燃料の備蓄が難しかったりすることが背景にある。

 2018年の北海道胆振東部地震では、発生から24時間以上が経過しても160万戸以上で停電が続き、非常用の電源確保が課題になった。政府は自治体向けの手引きで「72時間は外部からの供給なしで非常用電源を稼働可能とする措置が望ましい」と明記。浸水や耐震・免震対策も求めている。

 消防庁の調査によると、昨年6月時点で非常用電源は県内全ての自治体庁舎に設置。ただ、川崎、横須賀、鎌倉、小田原、秦野、厚木、伊勢原、海老名、座間、南足柄、綾瀬の11市と葉山、寒川、大磯、二宮、中井、箱根、真鶴、愛川の8町、清川村は稼働時間が72時間未満だった。

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