【高松宮記念】音無厩舎の二枚看板・インディチャンプとモズスーパーフレアの“現在”を暴く

シルエットにもシャープさが出てきつつあるインディチャンプ

春のJRA・GⅠシリーズ幕開けを告げる第51回高松宮記念(28日=中京芝1200メートル)には、レース史上最多となる7頭のGⅠ馬が出走を表明している。その中でも一昨年の春秋マイル王インディチャンプと昨年の覇者モズスーパーフレアの「二枚看板」を送り出す音無厩舎勢の取捨が馬券作戦上の最大のポイントとなろうか。音無厩舎への“通い”を日常的に行っている松浪大樹記者が実績馬2頭の今現在の状態を暴く――。

京都競馬場の改修工事による開催変更に文句ばかりの栗東トレセンの人々。「阪神とか中京とかって、そもそも遠いねん」といったアクセス面がその理由の大半と思われているかもしれないが、最も根深い問題は「馬場がめっちゃ荒れるやん」ってほうだったりする。連続開催の影響で悪化する芝では力を出せない――。そこを危惧している人が多いのだ。

やぼ用で顔を出した先週の音無厩舎で「開幕週にあれだけ雨が降ってしまったら、最終週まで持つわけがない。どうせなら競馬の日は(内外も関係なくなるような)田んぼのような馬場になればいいのに…」と早々にトーンダウンしていたのはモズスーパーフレアを担当する竹中助手だ。

気持ちはわかる。昨年は重馬場の高松宮記念を勝っているとはいえ、基本的にはタイムアタックを得意とするタイプ。時計を要するだけでなく、内ラチ沿いを避けて通らなければならないような馬場では勝機も遠ざかっていく。

もちろん、そんな状況を見かねたJRAがガッツリと芝を刈ってくれて、開催最終週なのに1分07秒台が飛び出すような摩訶不思議な状況になってくれることを願ってはいるが、それはレース当日になってみないとわからないこと。例年のような冬毛ボーボー状態でもなく、昨年よりもむしろ馬体の張りなんかはいいのにもったいないなと思いながらも…。

2頭出しの音無厩舎ではモズスーパーフレアよりもインディチャンプが前に来る――。これこそが現段階での記者の見解なのだが、そのためにはインディチャンプの状態アップが至上命令となろう。自他ともに過去最高の状態であることを認め、記者も自信満々で◎を進呈していた一昨年のマイルCS。「当時の状態を10とするなら、現在の状態は7」とはインディチャンプの調教に乗り続けている生野助手の現状の評価だ。

「マイルCSを勝ったときの状態が良過ぎたというのもありますけど、あの当時と比べると、どうしても足りない感じはありますよね。もちろん、前走(阪急杯4着)後から在厩で調整して1週前にもビッシリと負荷をかけた。状態が上がってきている感触はあるんですよ。2走前(阪神C3着)も前走も“仕上がりきらないな”という状態での出走でしたし、前2走よりは確実に良くなるとは思っていますが…」

ピークの状態を知っているからこその慎重発言なのだろうが、この雰囲気はスプリンターズSを自重して、休み明けでの参戦となった昨年のマイルCS(2着)のときに似ている。

「なんだかんだと言われましたが、あのときは結果的に帳尻が合ったんですよね」

太め残りが続いているインディチャンプの馬体重が470キロ台まで絞れているようなら、購買意欲は一気に3倍増。これはレース当日だけでなく、木曜発表の調教後馬体重で最初のチェックができるので、ぜひ注目してほしい。

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