絶滅危惧種・ツシマヤマネコの人工繁殖に国内で初めて成功 よこはま動物園ズーラシア

人工授精で生まれたツシマヤマネコの赤ちゃん(よこはま動物園ズーラシア提供)

 よこはま動物園ズーラシア(横浜市旭区)が、天然記念物で絶滅危惧種の「ツシマヤマネコ」の人工授精による繁殖に国内で初めて成功した。元気にミルクを飲んで順調に成長しており、性別はまだ分かっていない。

 同園によると、ツシマヤマネコは長崎県・対馬にのみ生息する固有種で、野生では現在約100匹しかいない。成体は普通の飼い猫と同じぐらいの大きさで、耳の後ろの白い斑紋と太くて長い尻尾が特徴。

 同園では環境省の保護増殖事業に基づき、2006年からツシマヤマネコの自然繁殖や飼育に取り組んできた。19年度からは最新技術を活用した人工授精を始め、今回3度目の挑戦で成功した。腹くう鏡を使って精子を直接卵管内に注入する方法で、この技術を有しているのは国内で同園だけという。

 赤ちゃんは今月18日に誕生。19日時点で88グラムだった体重が23日には133グラムに増えるなど、すくすくと育っている。

 同園では、赤ちゃんを含めて計4匹のツシマヤマネコを飼育。赤ちゃんを一般公開するかは未定という。担当者は「今後も人工授精を続け、繁殖に貢献していきたい」と話している。

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